第6話 イッツ・マイ・ライフ

「おかえり なんで怪我してるの」

「婆さんと拳を交えた」

「……理解不能」

「神田の伝承者 知らねえのか 俺ァワクワクしたぞ」

「それ雛ちゃんとこのおばあちゃんでしょ」

「んだよさっきから低いトーンで 泣かしたってそうゆうことか」

「で まさかあんた手をあげたの」

「ったりめだろ わんころの頃から憧れてたんだ いつか誰よりも強くなる 強い奴とやり合いてえ てな」

「莫迦野郎! 雛ちゃんは私の親友でそのおばあちゃんに暴力! 取り返しつかねえぞタコがあ!」

「向こうから喧嘩ふっかけられたんだ こういうのはせーとーぼーえーってんだろ」

「早く助けに戻らなきゃ!」

「心配ねえだろ たいした傷じゃねえし ほらあの孫娘も一緒にいたから」

「……許さねえ 許されねえ」

「んだよ怖ぇ顔して ブスに磨きかかってんど」

「ここであんたを殺して私も死ぬ!」

「やれんのか? お前が身動き取れねえようにするなんて俺にとっちゃ動作もねえ」

「百聞は一見にしかず 百見は一触にしかず 御託はあくまで御託 実物の仔犬にも劣る代物」

「なら来い ケリつけようぜミサキ」

「お前の死をもってなああ!」


 おばあちゃんが行きなさいって、仲直りしてきなさいっていうから後をつけてきたけどなんなのあれ。ミサキがバッドネイムちゃんと戦ってる? 今日のミサキ、なんだか様子がおかしかったけど。でもわたしにはわかる。神田神拳の血を継ぐ孫だもの。ミサキは強者を求めてる。だからおばあちゃんとも死合いをしたんだ。わたしにどうぶつタワーバトルでボロ負けしたあの日から、ミサキは本当の最強になるために強者を求め続けてる! だから誰にも負けられないんだ。それがたとえ自分ん家の飼い犬でも。ただバッドネイムちゃんも並々ならぬ闘気。闘気を超えて魔闘気。心なしか体重百キロはありそうな魔闘気。ミサキは創造つくったんだ。この状況を。体重百キロのフレンチブルドッグとの死合いが 創造れたんだ!!! あ、ミサキ! 捕まってる! フレンチブルドッグに!! すごいよミサキ。いや、ミサキさん。とうとうミサキさんは異種の世界から一周まわって同種格闘技の世界へ踏み込んだ。ミサキさん、バッドネイムちゃん。どっちも……頑張れ!


「やるじゃねえか 犬のくせに」

「犬はてめえだろ! 返せ 返せよ! 私の人生を! ……パワああァアアーーーッ!!!!!!!!!」


【次回予告】遂に始まったミサキvsバッドネイム 互いの尊厳をかけたバーリトゥードの結末やいかに!? 次週最終回!「君の名は。」やっと目を覚ましたかい

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