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 私が高校三年当時のこの国の経済といえば、ながらくつづいていた不況のせいで失業率も高かった。とはいえ、いまおもえば、あのころの状況のほうが現在の数倍マシだったといえるが……。


 大学に進学する頭もなかった私は卒業後には働くつもりだった。が、就職活動で二十五社中二十五社落ちていた。


 相次ぐ不採用通知に意気消沈していた私が途方に暮れながら街をあるいていると、自衛隊員募集のポスターをみつけた。当時はまだ日本軍ではなく自衛隊だった。


 自衛隊といえば訓練はキツそうだが倒産することはないし給料もそこそこもらえるらしい。それにいろんな免許をとることもできるから食い扶持にこまらないという。


 両親と担任の教師も「いいんじゃないか」といってくれた。


 といった感じでいささか打算的ではあるが私は自衛隊に入隊した。が、予想外だったのは私が新兵訓練を受けていたときにアメリカと中国のあいだで武力衝突が起きたことだった。


 それはすぐに両陣営の同盟国を巻きこんで第三次世界大戦にまで発展した。この国でも九州と北陸にロシア軍が上陸し戦闘となった。


 私も石川県の最前線に駆り出されたにもかかわらず、運よく生きのびることができた。その理由としてはが大きいだろう。


 戦時中に新型変異ウイルス感染症の世界的大流行が起きた。強い感染力と高い致死率の新型変異ウイルスが猛威をふるい、世界はもはや戦争どころではなかった。




 世界大戦がおわったのち、私が所属していた陸上自衛隊は日本陸軍となり、私の階級は陸軍一等兵となった。

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