「――35 最後の戦いにて」
【主な出演者】
魔王(AI)
猫(ニャンニャコ)
巨匠(マエストロ・クロニクル)
人類最強三十五歳(マリクシード・ル・ボン)
ちびっこエンチャンター(ジェリコ)
達人級の武闘家(クロサワ・ヤスジロウ)
気象予報士(ゴルゴネイオン・サルー)
鞘の巫女(サヤ)
大佐(マードック・コケシ)
大佐の娘・俺の嫁(トキオ・コケシ)
そして
勇者(あなた*
「ここがどこでいまがいつかもわからむが、こんばんは、勇者さん? ってすやすやと眠っておるでよこのヤロー。わらわの訪問に際して全裸待機しとらんとは不届き千万。仮にも勇者なら侵入者のけはいに気づいて、ムッ、殺気! ばたん、ゴロゴロ、すちゃっ、とか決めるところであろーよ、すちゃっ、と。そーは思わんかね、義父どの?」
「思わんね。それと、儂はおまえさんのようなバケモノの父親になった憶えはない」
「どうか、剣を収めてもらえないかな、大佐?」
「儂のことを知っているような口ぶりだな」
「ちびっこエンチャンターや達人級の武闘家から話を聞いた。あと、なんつったか、気象予報士と鞘の巫女だったっけ」
「上であの者らに会ったのか」
「上? するとそなたらはまだ『世界の臍』にいるとゆーわけかや。あれからまだすこしも時間が経っていないのだな」
「思いでにひたるなら、ひとりでやってくれんかね?」
「失礼。これがわらわの頭の中のヒトリゴトにすぎむと聞かされても、にわかには信じられんリアリティー。愛しいぞ、わがこころの友よ」
「何をわけのわからんことを。ただちに立ち去れ、バケモノが」
「娘御はどこか? なるほど。向こうの岩陰から――」
「やれッ、トキオ!」
ビュッ。
「見くびんなっ、魔王」
「なんぢゃ、人類最強ではないか? 毒矢ごときでわらわがやられるかよ」
「まったく。おれさまが防いでやったからいーよーなものの、コレ、当たってたら即死イベント発効だぜ?」
「まーじーでー。てかやっぱりそなたもデウス・エクス・マキナのひとりだったのだな。でもあんましメタ発言とかしないほーがいーよ? ゲームバランス壊れちゃう」
「イチバンノ壊シ屋ガヨクイウ」
「お姉さまっ下がって、そいつ殺せない!」
「おお、〈猫〉と〈巨匠〉もか。懐かしいな」
「お姉さま、なんで泣いてるニャ?」
「ちいっ。バケモノどもがよってたかって。どうやらとうとうこの儂も、戦場の女神に見限られるときがめぐってきおったというわけか。だが、タダでは死なんッ」
「あくまでシリアスに死亡フラグおっ立ててるところ悪いンぢゃけえ、わらわの目的は勇者暗殺ではニャーよ?」
「ひょっとして、〈猫〉リスペクト?」
「……大佐。魔王の話を聞いてやってくれ」
「クロサワ? それにジェリコにゴルゴネイオン、サヤまで。どうしてここに」
「おれが魔法で連れてきた」
「設定ガン無視じゃねーか。瘴気はどーしたよ?」
「地下十三層でチュワチュワの実というアイテムが――」
「ま、いっか。最終決戦はやっぱりオールスターズじゃないとの。あ、でも女騎士は間にあわんのね、安定の不遇キャラだこと」
「最終決戦て。戦うつもり、ないんでしょう?」
「ないよ。それにしてもなんでこの男は目を醒まさんのだ。こんだけ騒いどるのに。もしかしてトイレ休憩中か? ペットボトル用意しとけよ」
「せーぶ中、トユー可能性モ?」
「電源はいってないときは、わらわたちの意識もないンぢゃないの?」
「姫の眠りを醒ますのは、いつだって王子さまのキスと決まってらあ。その逆もまたしかり――」
「アラ、コンナトコロニ〈俺の嫁〉ガ」
「ちょ、ちょっと待ってよ。なんであたしが――」
「頼んだよ、トキオ」
「……」
「そーいえば、お姉さま?」
「なんぢゃ、〈猫〉」
「無事に帰ってきたニャ、〈猫〉にもキスしてくれるって――」
「あともうちょっと、エンディングまで待つがよみ。最期のあいさつくらい、忘れずにしてやるわいナ」
「最後?」
ぱちりこ。
「――なんChooベタな。くちびるとくちびるがくっつく寸前で目を醒ましおったぞい。アイツ、勇者ってよりギャルゲーの主人公なんじゃね?」
「……もうっ、莫迦ね。勇者!」
ばちーん。
「勇者?」
「どーしたよ? 魔王」
「ヤ。あの大佐の娘、いま勇者って呼ばなかったか、あの男のことを?」
「いったな。それがどーした?」
「フツー、おどれのフィアンセを、勇者なんて呼ぶかや。名前で呼んだれよ」
「だから呼んでるだろ?」
「は?」
「だから名前だよ名前。ユー・シャ。それがあの男の本名だ」
「つまり、【主な出演者】勇者(ユーシャ)だと?」
「ああ」
「どけ、人類最強ッ。悪い予感しかせんぞ。おい、『プレイヤー』、あんまりぢゃぞ。名前にはもっと愛情をこめてやらんか! おまえの分身だぞ。なんとかゆえ、人類。わらわはおまえたちに出会うためにここまできたのだ――」
「繧ャ繝ウ繧ャ繝ウ縺・%縺・●」
「なんの、冗談だ?」
「縺昴▲縺ィ縺励※縺翫%縺�」
「お姉さま、気をつけて!」
「おいおいおいっ、どーしたよ、急に。いきなり戦闘用のBGMを流してくるたあどーゆー了見だあ?」
「哲学的ぞんびガ、りあるナぞんびニ?」
「ポーズぢゃ、ポーズ。説明を要求する、〈メタ愛〉!」
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