皇帝のあたらしい朝
19.999999999999999999999999999999999999999999999999999999…… 勇者を待ちながら X幕め(ただし、Xは一以外の任意の自然数)
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【主な***】
**
女騎士(*
「おい、女騎士?」
「どうする、とは?」
「どーするもこーするもないようっ」
「ほんとうにヒドい魔物だな、魔王は。ヒトを紙くずみたいに」
「ぷわちゃんぴんぎえごぉ」
「すまない。ぜんぜんわからないのだが」
「なるほど。この手できたか」
「なんか話が変わってないか、なんとなくなのだが?」
「〈副官〉ちゃあーん、〈副官〉ちゃん。いたら返事してくださあーい」
「とりあえず、いったん家に帰ろうかな」
「はぁーい……はーい……はぁぃ……。し、沁みるなあ、ひとりエコー」
「あたしは紙くずのように魔王を棄てたりしないから、ちゃんと会話に戻ってこい」
「戻りたいのはやまやまなんぢゃけど。とりあえず、女騎士の表情に落書きでもしておこうかの、カキカキ。アイヤ、正の字描くなら顔面よりフトモモかしら」
「まったくこどもなんだかおっさんなんだかわからないところがあるよな、魔王は」
「もう馴れました」
「底知れなさの方向性が間違っている気がする」
「はたしてこれ、何回めなのであろ?」
「……誤解は解けたとはいえ、魔王のせいであの子が変わったのは事実だ。それでもし妹が危ない目にあったりしたら、ふたたび苦情をいいに舞い戻ってくるからなっ」
「ぜひとも戻ってきてたも。ここで第四の壁をぱりーん、て切り裂いて颯爽登場してくれたら、わらわ濡レチャウ!」
「ああ。今度こそ目にもの見せてやるっ」
「とゆったところできみはこない……夏」
「あれ。いってなかったか? みんなはいま『世界の臍』を探索中だ。あすこは専門の探掘家でも底まで潜るのにひと月以上かかる難所。まだしばらくは帰ってこられないと思うけど」
「わらわも絶賛帰ってこられない中だよ?」
「だからさきに勇者の後援会に話をつけに行ったんだろ、本人を後まわしにして」
「それがマズかったのか、勇者のほーをさきに処理すべきであった、と?」
「あたしはあすこに潜る前に戦線離脱したから」
「このルートはここで行きどまりとゆーことかや」
「うるさいっ」
「そうぢゃな。ごちゃごちゃこうるさいこと考えとるばやいやないで?」
「伝説の剣探し」
「勇者はともかく、わらわはわらわしかおらんのだし、この残機ゼロのわらわでやっていくしかあるまいて」
「魔王の城のまわりって瘴気が立ちこめていて、ふつうの人類には近づくこともできないだろ。それを晴らすのに五振りの聖なる剣の力が必要なんだそうだ」
「ここでも何かアイテムが必要なのかしら。セーブして、おとといきやがれってか?」
「あたしンちの血統が特殊なだけだ」
「ヤ。それより何よりわらわそんなアイテム聞いたことないんぢゃけど?」
「いや、ひと振りだけだ」
「『叡智』に登録されていないアイテムの存在……」
「ひと振り。これで二本めだ」
「まだまださきは長いなー」
「でも、もう剣を探す必要はなくなった。つぎは『繭』探しだ。帰ってきたら驚くだろうな、あいつら」
「とりあえず、待ってるだけの魔王ぢゃダメなのであろ」
「ハハハ。魔王じゃないんだ、そんな心配はいらないさ。一行の内には好戦的なのも交じっているが、本人はきわめて温厚なやつだから」
「こっちから押しかけてってその温厚さの正体を暴いてやるぞい」
「なんなんだ、それは」
「いいぞ、機械仕掛けの神。わらわとそなたの知恵比べ、ステージをまたひとつ上の段階へと押しあげてみせようではないかっ」
「神サマか。どっちかといえば、いま、それにいちばん近いのは魔王じゃないのか?」
「むろん、こっからはわらわのターンである!」
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