明媚
原崎無名
第1話
彩桜(みさき)が殺された。
優瑠(すぐる)が言う。
昨夜、彩桜の家に彼女のものであろう腕が送られたらしい。
優瑠の顔は真っ青で真っ赤に目を腫らしていた。
彩桜と優瑠と俺は家が隣同士で、幼少期から3人で遊んでいた。いわゆる幼馴染ってやつだ。
彩桜は透き通った目をしていて、髪も消えてしまいそうなくらい薄い茶色だった。
色白でスタイルもなかなかなものだったが、性格が最悪だった。
限界まで貢がした後は用済みのようで、散々罵った後に別れの言葉を告げる。
彩桜は話が上手く、巧みな話術で次々と貢がせた。
ただ、優瑠や周りは誰もそのことを知らない。
清楚を取り繕っていた彩桜だ。
話術を駆使して貢がせるようには見えない。
学校に着くと、濃紺の空気だけが校舎を満たしている。
蚊の鳴くような泣き声がする。
なぜ彩桜が無惨な殺され方をしなければいけないのだろう。
誰かが嘆くようにつぶやく。
そして、俺を憐れむような目で見つめる。
授業が終わると、濡羽色に染まった教室を後にした。
家には誰もいない。
そして自室に入る。
ドアを開けると、獣臭く愛おしい匂いが部屋を包む。
部屋はあいくるしい色で染まっている。
俺はそれを見てうっとりする。
そして
つぶやく
「ああ、
うつくしい
明媚 原崎無名 @jdm_000
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