第5話

「こんなものかな?」


朝の訓練を終えて身支度を整え鏡の前で最終チェックをする


「筆記用具よし、ノートよし、カバンよし、お金よし、ハンカチよし、着替えよし、治療キットよし、拷問器具よし、魔法銃よし、短剣六本よし、ワイヤーよし…いや、短剣は四本…うーんやっぱり八本の方がいいかな?制服の内側に六本、脚に一本ずつ…いや足りないかな?」


★☆★☆


「ふぅ…案外時間がかかっちゃったな。まぁでも余裕で着いたから良かった」


短剣の本数を考えて一時間も使った為、予定よりも遅く学園に着いた


「これが抹殺遂行予定時間だったら不味かったけど、登校時間には余裕で間に合ったからよし。やっぱり四本の方がこの制服にはしっくりくるね」


短剣は四本にしたらしい


「受付は…あそこかな?」


【入学者用受付】【保護者用受付】

入学者用受付と書かれている受付に向かい合格証を受付の女性に渡す


「はーい!入学おめでとう!えぇと…ノア君っと…!?ノア君ね!待っていたわよ!学園長が話したいらしいの。ちょっとついてきてもらっても大丈夫?」


「?はい、大丈夫ですけど…学園長が僕に何の話が?」


「私も知らないの。ノアと言う子が来たら呼んでくれってしか」


ノアははて?と思いながら学園長を思い出す


前の小太り学園長を処刑後…確か就任した学園長はエルフの人だったような…会った事はなかったけど情報だけは仕入れてるし大丈夫かな?

何かあれば対処はできるし

頭の中でそう考えながら女性についていく


☆★☆★


「じゃあ私は戻るわね。中で学園長が待ってるからドアを叩いてから入ってね」


「はい。ありがとうございました。お仕事頑張って下さい」


受付の女性はクスクスと笑いながら立ち去っていく

ノアはドアをコンコンと叩く


「入りなさい」


「失礼します」


懐に片手を入れてゆっくりドアを開くとキッチリと整えらている書類が乗っている机の前に長身のエルフ、ヘイトール学園長がいた


「まぁ座りなさい」


「はい」


警戒しながらもゆっくりソファーに座る


「…警戒しなくても大丈夫。私は君に敵対する気は全くない。君を敵に回したら前の学園長みたくなるからね」


学園長はふっと軽く笑いながら話す


「なるほど。僕の事は国王様からですね?」


「そう。君の事は詳しく聞いているよ。その若さで二代目王の影だと、依頼の内容は知らないが入学するとだけは聞いた…

私の自己紹介は必要かな?」


ノアは腰に付けている魔法ポーチから手帳を取り出しペラペラと捲る


「そうですか。

では間違っていたら訂正お願いします。


ヘイトール学園長

年齢695歳

身長207cm

体重…あっこれは調べた時期で86kg

好き 森林浴 読書 魔法 スイーツ 奥様

嫌い 運動 暴力 辛い物 奥様に近寄る男達

元エルフの国で魔法、魔道具、歴史についての研究者

研究の為に各地を巡り5年前に王国で過ごし始める

2年前に前学園長のやらかしの後に宰相様からの推薦により国王様が直々に家を訪れ説得され学園長に就任

今では宰相様、国王様の良き相談相手になる

近隣住民からの評価は5

これは僕の調べた情報を集計した結果を僕の判断で5中の5なので気にしないで下さい

得意な魔法は風、水、氷

暴力は嫌いだが帝国の戦争では50人の部隊で500人の帝国兵を壊滅させ大活躍

自軍の部隊は死人無し

その活躍によりエルフの国では英雄と呼ばれていた

エルフの国を出る際、エルフの王様に強く止められたがどうにか了承得て国を出た

この位しか情報が集まらなかったですね」


「……いや、充分じゃないか…そして体重は83kgだよ」


「なるほど。訂正しますね」


ノアは手帳に修正し始める


「いやいや、君の実力には頭が下がるよ

エルフの国でしか知らない事まで知っているとは驚きだよ」


ヘイトール学園長は頭を抱えながら難しい顔をしていた


「まぁ僕一人じゃ限界はありますから…

あぁ、国王様から聞いているという事は隊の事も知ってるという事ですよね?」


「それはある程度の地位の者なら知ってるんじゃないかな?むしろ国外でも有名だからね

王国の始まりの部隊にして最強の部隊、【ブレイブ・シャドウ】、たしか昔は【王国の騎士団・零】って呼ばれてたかな?

君の師匠が王の為にしか動かない部隊だけど

うちは騎士っぽくないし騎士団とは別なんだから違う名前にしないか?

王国騎士団の裏で別行動するから影の部隊、みんな勇猛果敢だし個性豊かだからブレイブ・シャドウでいいんじゃない?決まり!

って言ったって聞いたよ

そして隊長は王の影【ファントム・アサシン】だとは有名だが、他の団員は不明」


「ですよね〜。ただ素性、隊員数までは知らないと?」


「そうだね。隊長の名だけは有名だよ

恐らくなんだけど前任者のせいかと思うけど」


「あはは…」


ノアは呆れたような乾いた笑いをする


☆★☆★


「では卒業までよろしくお願いします」


「うん。何かあったら頼ってほしい

僕からも頼るかもしれないかもね」


ニコッと笑いながらお互い手を出し握手する


「じゃあ入学式に行こうか。会場まで案内するよ」


学園長に連れられノアは入学式のある建物に向かう


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