「消えてしまわないで」
それが聞こえたのは全身が震える冬の日だった。
初めて、優しい君から凍るような冷たい視線を向けられた日だった。
大事なものをたくさん失った帰り道のプレイリストに、この曲が入っていた。
立ち止まってしまった。いつもの帰り道の中で。
大泣きした。聞こえなくてもいいものに。
真冬の寒さの中で、夏の終わりを感じた。
他人の目ばかり気にしてきた自分が、周りの目を気にすることもなく。
大泣きした。
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