第7話 『小学校の優等生さん』

女は拳銃を僕に向けたまま、立ち上がった。


「地図を出して」


「地図?」


「そう。あなたの気前のいい叔父さんが秘宝を隠した地図よ。」


「これ?」


一枚目の地図を出した。


「これは、この街のでしょ。さっきの家でもらった地図よ。」


一行しか文章が書かれていない紙を出した。


「これだけ?」


「そう、そうれだけ。」


「で、どういうこと? 『点滅する太陽』って?」


「さー、何が何やら、僕もさっぱりさ。」


「嘘おっしゃい。どこに急いで向かっていたの? 鉛を味わいたいの?」


拳銃にかかる女の指に力が入った。


「・・・多分、この先にある岬の灯台を指していると思うんだ。」


「なるほどね。ずいぶん賢いじゃない。どこの学校で習ったの?」


「町立の小学校。」


女はいきなり発砲した。


車のタイヤがへこんだ。


「じゃね。小学校の優等生さん。」


女はそう言うと、路地裏に隠していた自分の車で去っていった。


僕はすぐにタイヤ交換を始めた。


自動車教習所の優等生ではなかったことを僕は悔やんだ。


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