第3話 上田と山田 その2


「あの、もうちょっとマシなウソをついてくれますか。上田先生。」

「何を言っている。すべて本当だ。」

 山田は笑顔の表情は崩していないが、目が笑っていなかった。

「いえ、体が燃えてたのに、なんで今無傷なんですか。ウエダ、センセイ。」

「君、馬鹿にしているだろ。」

 山田の笑みは微笑からすでに嘲笑へと変わっていた。


「あれは神事の一種だったんだ。ほら降霊術とかイタコとかあるだろう。集落の名前にも炎がついている。あの集落には火の土地神かなんかを祭っているんだ。つながりのある者を依り代として、神へ祈りを捧げるんだ。通常、この手の神事で選ばれた者というのは、神の入れ物として容量が足りないのと供物の役割を担うことがあるため、命を落とすが、少数民族だからな。あえて依り代を増やすことで、皆で命をつないでいるんだ。」

「じゃあなんで、センセイも依り代になっているんですか。ただでさえ日本人か一瞬、疑う顔と体格しているじゃないですか。風呂好きのローマ人と言われた方がまだ納得できますよ。どちらもハワイとは全く関係ないじゃないですか。」

「確かに、君いい質問だ。なんでだ……、旧日本軍の軍人、金毘羅神社、火の神……。まさかあそこで神の名前がわからなかったのは、人に存在をゆがめられた神だったからか?」


 一人早口でブツブツという話す上田を見ながら、山田は落胆していた。このスクープで雑誌の売り上げが上がれば、今月の給料が上がるからだ。

 しかし、今やその望みも消え失せていた。まさかこの一応高名な大学教授から出てきたのは、出来の悪い都市伝説じみた話だったからだ。

 これならネット小説を転載した方がまだ読者の受けはいいだろう。

「ハワイの火山の神はペレ、日本の火の神でペレを滅し、ハワイの地霊的支配権を得ようと……。」

「あぁ!もういいですよ!で、その不思議な炎はどうしたんですか?!」

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