とても長い夢を見ていた。それも残酷としか言いようがないひどい夢だった。


 いつも仲がよくて熱烈に愛し合っていたはずの両親が、お互いをひどく憎み合い、忌み嫌い合っていた。母は父を殺そうとして父は二度と母の醜い顔を見なくてすむよう、心の門戸をかたく閉ざした。

 おまけに父は、私たち兄弟を生むだけ生んで何らかえりみずに遠く離れた場所で一人暮らした。無口な弟は、私が声をかけても私をいつも無視してばかりで、今やどこにいるかもわからない。妹はわがままが過ぎる上に乱暴で手がつけられない。あの子は私の暮らしていた社を壊し、私の大切な人を無残に殺した。そしてその剣で私の胸を容赦なく貫いた。


 そんなこの世の終わりのような悪夢を見てしまった。


 わたしの本当の家族は、いつも仲がよくてわたしたち兄弟を大切に慈しんでくれる両親に、物静かだけれどわたしが困ったときはそばにいて助けてくれる弟に、その下の弟もやんちゃで甘えん坊だけれど明るくて素直な子なのに。

 そう、わたしは今までそんな優しくて愛しい家族に囲まれて心温まる時間を過ごしてきたはずなのに。




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