太陽と雷(いかづち)の恋事記

王八譚

序文

我は名もなき神。されど、天地が發したときよりすべてを記憶するもの。

そなたたち人間は、いつも尊き神々の姿をさも見てきたかのように語ろうとする、一度も彼の方々にまみえたことなどないにかかわらず。

 神から神へ、神から人へ、人から人へ語り継がれていくうちに、彼の方々はまことの名と姿を大きく歪められあるいは失われてしまわれた。

 そなたたち人間は、もはや嘘偽りを神と信じ込み敬っておる。すぐれて愚かなり。

今ここで、我が尊き神々のまことの姿を語ってしんぜよう。

 彼の方々が、そなたたち人間のように、嘆き悲しみ、怒り、互いを憎み、ときには恋の炎に身を焦がした姿を。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る