第24話 王女ルナの恋 ㉓

「ニマ、やっと君をここから出してあげることが出来そうなんだ」

と、リールイは嬉しそうにニマに言った。


 逃げるためには、ニマが正気であることが必要だった。

 リールイは先週から、記憶の埋め込みは中止していた。

 すでにニマは、本来の記憶を取り戻し、聖なる者の輝きに包まれていた。

 脱出計画実行までは、ニマの記憶が戻ったことを、誰にも気づかれてはならなかった。 ニマは体調を崩し、静養が必要であるとして、リールイはニマを誰にも会わせなかった。

 ルナがニマのことを心配して、見舞いに訪れても、リールイは決して会わせなかった。しかしどんなに用心しても、隙は出来るもので、その隙をついて、ルナはニマに再び会った。


 それは大尉が、長い間、顔を見せないニマの病状を気にして、リールイを呼び出したときだった。


 ルナは、やっと再会できたニマの顔を見たとき、なぜだか涙が溢れて止まらなかった。そして、そのようなルナの様子を見たとき、ニマは不思議な感情に襲われた。

 今まで経験したことのない、感情だった。

 ニマはいつしかその腕を伸ばし、泣きじゃくるルナをその胸に抱きしめていた。

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