第23話 王女ルナの恋 ㉒

 ジョナサンの父は、アメリカ留学時にIT企業を立ち上げ、時代の波と幸運にも恵まれ、アメリカで成功し、巨万の富を築いた、数少ない外国人だった。

 ジョナサンは父の会社の大株主であり、役員名簿に名も連ねていたので、秘密の商談を装い、自家用ジェットで中国へ入国した。

 自家用ジェットなので、入国の審査は通常よりも甘く、さらに政府がらみの商談での入国だったので、袖の下を入国審査員に渡すことで、審査はより甘くなった。

 ソヨンたち実行部隊は、ジョナサンの持ち込んだ商品や荷物に紛れて入国した。

 ニーナは最初、政府から出国を禁じられていることもあり、後方支援に回るはずだったのだが、ジョナサンが合流した時点で、彼女は考えを変えた。

 ジョナサンの一族の財力を知っていたので、ニーナはプロジェクトが失敗しても、

ジョナサンの心をつかみ、彼と結婚すれば、損失分は取り戻せると計算したのだった。

 ソヨンはニーナらしい変わり身の早さにあきれたが、旧友のよしみで、彼女に警告した。


「ニーナ、ジョナサンはあなたがいくら誘惑しても落ちないわ。

 彼には、恋人がいるの。

 バカな夢は、見ないことね」

 

 実際、ジョナサンはこの任務を早く終わらせて、“モナリザ”ことイマージュが

ジョンジュンと共に待つ場所へ、早く帰りたいと思っていた。







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