第20話 王女ルナの恋 ⑲



「あの子は、誰のいうことも、たぶん聞かないわ。

 一緒に逃げてきた、レイア姫と呼ばれるあの少年の言うことは別だけど・・・」

と、旧知の間柄である元大統領のSPジェウクに、ソヨンは率直な感想を言った。


「居場所がわかっているのに、なぜ連れて帰らないの?」


「連れ戻しても、また逃げるからさ。

 これで、三度目なんだ。

 それも同じ少年とばかり、逃げている」

と、元大統領のSP、ジェウクは答えた。


「相手が毎回違うなら、連れ戻せばそれで済むことだが、いつも同じ相手だから、どうすることもできないんだ」

とジェウクは言った。


「特に今回は、二人を探し出すのに、ずいぶん時間がかかった。

 もう少しで間に合わないところだった。

 間に合って良かったと思っている」

と言った。


「警戒して、また逃げなければいいんだが・・・」

とも言った。


 ソヨンはラッキーだと思った。

 あのふたりをプロジェクトに入れておけば、苦労することなくジェウクをプロジェクトに参加させることが出来る。

 ルークを護るために、必ずジェウクはついてくるはずだった。

 ニーナは信用できないが、ジェウクは戦力として、

確実にカウントできた。

 ジェウクはオファーしても、獲得不可能なほどのトップレベルの傭兵とも言えた。

 ソヨンは小生意気なガキ、ルークに心から感謝した。





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