第17話 王女ルナの恋 ⑯
ソヨンにとって大きな誤算となったのは、ロシアによるウクライナ侵攻だった。
ロシア新興富豪の一角に名を連ねていたニーナの一族は、とばっちりで資産が凍結され、ニーナが持つ自家用ジェットと新型兵器の数々は、ほとんどが使えなくなってしまったのだ。
ソヨンは秘密組織に席をおくエージェントだったが、今回はニーナとのからみもあり、組織の助けは受けられない状況にあった。
自家用ジェットも兵器も自分たちで調達しなければならなかった。
ニーナは仕事で取引のあった、アラブの王族に助けを求めたのだが、相手は当然のように、見返りを求めてきた。最近の彼の最も気に入っている遊びは、美しい美少年とのアバンチュールだった。
ニーナは迷わずレイアを差し出そうとしたのだが、しかしそれに気づいたルークが阻止に動き、大きなもめ事となった。
王族のボディガードまで登場し、ルークはもう少しで大けがを負うところだった。
しかしその時、客の中から4人の屈強な男たちが現れ、ルークを囲み
彼を護ったのだった。
その時、ソヨンはルークを護るボディーガードの存在に、初めて気づいたのだった。ルークは明らかに、ただの家出少年ではなかった。
たぶん誰か大物要人の身内なのだろう思われた。
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