第2話 王女ルナの恋 ①

「この方は、私の兄ではありません」 

 少女はきっぱりと、大勢の兵士に囲まれ脅されても、ひるむことなくそう言い切った。  

 その様子をリールイは面白そうに少し離れたところから、黙って見ていたのだが、気持ちを変え、少女を助けることにした。


「大尉、止めたほうが良い!どう考えたって、無理がある。

 ジョンジュンの顔はすでに世界中にネットで拡散している。

 妹でなくても、別人だってわかりますよ」


 そのリールイの言葉に、大尉と呼ばれた男は、ひるむどころか逆上して、リールイに言った。

「これは、これは、お医者さま。あなたこそ、よした方が良いですよ。

 あなたが命令に反して、護ろうとしている患者は、政府でさえ持て余している重罪人です。

 この鉄条網が見えるでしょ? あなたの前任者は、あの鉄条網さへ越えられませんでした」

と言って、淫靡な笑みを浮かべて、リールイを馬鹿にした。



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