第3話 王女ルナの恋 ②

 結局、ルナも中国政府が秘かに隠し持つ、(特別な重罪人を収監し、長きにわたり研究している)特別研究施設に収監され、その研究施設の住人となった。

 ルナは貧しい独裁国家に生まれたのだが、ルナの父は、その国を統治する一族の出身で、一時は次期元首の第一候補だった。しかし後継者を巡る政争に巻き込まれ、失脚し、外国へ追いやられたのだった。だからルナは、祖国の土を踏んだことがなかった。

 ルナの父は、政治的野心をあまりもたない人物だったから、祖国へ戻り、権力の座に着きたいとは考えない人物だった。しかし権力の座についた異母弟の独裁を快く思わない人々は、ルナの父を次期元首にと切望したし、そうなるように画策した。それゆへ、元首となった末の弟は腹違いの兄を憎み、兄を殺す計画を立て、秘密指令を出して、兄を空港で暗殺させたのだった。


 ルナは、兄とされる人物と毎日、引き会わされた。

ルナの兄とは、顔も話し方もまるで似ていない青年だったのだが、青年はルナをなぜだか知っていて、ルナを自分の本当の妹だと信じこんでいるようだった。





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