私、ドッペルしちゃったみたいです
帆高亜希
第1話
私はごく普通の人です、そう言いたいとこですが、これまでに何度か不可解な体験をしています。
今回はドッペルゲンガーしちゃったかもしれないお話をしたいと思います。
【1ドッペル】
昭和後期に小学生だった私。
当時父親の都合で某国で暮らしていました。
日本人学校へ通っていましたが、自宅からは歩ける距離ではなかったのと治安の悪い国だったので、登下校はスクールバスに乗っていました。
そんなある日のこと。
その日私は学校へ行くのがとてもイヤで仮病を使って休むことにしました。
色々あって学校へ行くのがすごくイヤ!
でも、サボりは良くないよね…。
けれどもやっぱり行きたくない!
ずっと葛藤していました。
当時の学校の欠席の連絡は、もっぱら親が学校へ電話をして伝えていたのですが、その日うちの母も体調が悪く連絡が遅れて下校時間近くになってしまったのです。
学校への連絡が終わったあと、母親がなんだか怒っている…?
もともとうちの母親は情緒不安定で突然意味不明にキレることがあるような人だったので、
「なにごと!?」ってガクブルしていたんですよ。
その母が言うには、
「今日は休んでずっとうちにいたはずのあんたが、登校していたのに勝手にいなくなった!って、担任に怒られたのよ!そんなことあるわけないのに!」
意味がわかりませんでした。
次の日。
学校へは行きたくなかったんですがしかたなく登校すると、まずスクールバスに乗る段階で同級生何人かに言われたのです、
「昨日帆高さん学校きてたよね?」
と…。
えっ、私具合悪くて休んでたのに!?(仮病だけど)なに言ってんだろ?って思っていました。
学校へ着いたら着いたで、担任に呼び出され…。
昨日は校内で私を目撃した人が何人もいて、
いたはずなのに突然いなくなってちょっとした騒ぎになっていたのだとか…。
「お前はどうやって帰ったんだ!勝手なことするな!」
理不尽に叱られ…。
ええ、そんなことあるはずがないのです、だってずっと家にいて一歩も外へなんか出ていませんし、第一治安の悪い国で子供が一人で帰ることなんて不可能ですし、時間外にスクールバスが動くことなんてないのですから。
なんで担任は怒ってるのだろう?
当時の自分はドンくさくて嫌われ者だったから、みんなして罠にはめようとしていて私のこと嫌ってる担任もウソの目撃証言を信じたの!?なんて思っていたのですが…。
なんと、その後2度ほど似たようなことやらかしちゃってます…。
【2ドッペル】
高校3年生だったある日のこと。
その日の一時限目は世界史の授業でした。
元々世界史は好きな教科でしたが、その日に限ってダルくて学校へ行きたくない!
一緒に登校していた仲良しのSちゃんも同じ授業を受けることになっていましたが、彼女も乗り気でないことがわかり、「サボって繁華街へ出かけちゃおっか」という流れになりました。
が、なんだかんだサボるのは良くないよね…やる気出ないけどしかたない、学校行こうか…と、観念しました。
大好きなはずの世界史の授業、その日に限って眠いしダルいしやる気になれなくて、ボーっと妄想を膨らませていました。
——このままSちゃんと一緒に授業抜けて、私んち一旦寄って荷物置いてから繁華街行こうかな——
その光景をリアルに思い浮かべていました。
住んでいるマンションの玄関のカギを開けて、
私の部屋のドアを開けて入ってすぐの場所に荷物置いて…なんて、具体的に想像してしまっていたのです。
ふと隣の席に座っていたSちゃんを見ました。
彼女も今日はやる気がないらしく、ボーっと窓の外を眺めうわの空…。
サボりはしなかったものの、一日中ダルくて冴えない日でした。
下校時間になって帰宅すると、母が訝しげな目で私を見るのです。
「ねぇ、あなたとSちゃん今日ちゃんと学校行ったわよね?」
やだお母さんったらなに言ってんだろう?と思いつつ、
「うん、行ったよ(ホントはサボりたかったのガマンしたけどね)」
正直に答え…。
すると母は困惑した表情になり、
「やだわ!私ったら一体なにを見ちゃったの!?」
衝撃的な話を聞かされました。
「今日は私も朝早くから仕事であなたより早くおうちを出たんだけどね、忘れ物をしたことに気がついて一度帰ってきたのよ」
ふーん、それで?
「玄関のカギを開けて家の中へ入るとね、あなたの部屋からあなたとSちゃんの笑い声が聴こえてきたのよ!この子たちったら学校サボって!コラー!と言いながらドアを開けたら誰もいなかったのよー!!ドアが開く直前まで声も聴こえていたのよ?」
なにそれ、鳥肌ブワっ!!
さらに怖かったのは、それが起きた時間はSちゃんと私が授業中ボンヤリしていた時とほぼ同じ時間帯!
2人仲良くドッペルしちゃったんですかねー?
【3ドッペル】
最後のお話は、社会人だったころの出来事。
その日私は朝から頭痛がひどくて起き上がれない状態で、頭痛薬を飲んでも治らないので休むことにしました。
が、元々虚弱体質の私は有給休暇すべてを病欠に使うほどだったので、一日でもがんばりたくてギリギリまで出勤するつもりでいたんです。
頭が割れそうに痛いのをガマンし、赤いタートルネックのセーターを着るため手に取っていたのですが、どうしても頭を枕から離すのがつらすぎて、再び寝入ってしまったんですよ…。
こりゃあもうダメだと、やむなく休みました。
次の日。
何人かの先輩が私のこと訝しげな目で見るんですよ…。
A先輩は、
「あれ?昨日帆高さんいたよね?係長が朝礼で休みって言ってたけど?」
ん?なに言ってるんです?休みならいるはずないですよ?そう思っていたら今度はM先輩が、
「帆高さん、昨日の朝階段のとこであなた見かけたけど、私のことシカトしてさっさと追い越したよね?」
ええええ?なに言ってんですか!?
先輩に挨拶しないでシカトなんてやらかすわけないですよー!
そう思っていたら、次のセリフで固まっちゃいました。
「昨日赤いセーター着ていたでしょう?そんな派手な色着るの帆高さんくらいしかいないから、見間違いじゃないと思ったけどなー?」
うわぁぁっ、一体なに見ちゃったんですか!?
ちなみに当時の会社に私と見間違えられるようなソックリさんは存在しなかったので、A先輩とM先輩がなにを見たのか気になります。
他の部署でも私を見かけた人がいるとかいないとか…。
とにかくちょっとした騒ぎになったのは言うまでもありません。
とまぁこんな感じの体験談なんですが、これは俗にいうドッペルゲンガーなのかな?と、思いました。
ああそうそう、ドッペルゲンガーって声をかけてもシカトするのだそうです、実は私友人のお父さまのドッペルを目撃したこともあるので。
その話はまた次回…。
私、ドッペルしちゃったみたいです 帆高亜希 @Azul-spring
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます