もうどうにでもなぁれ

[炎神視点]


「何じゃとぉぉぉぉ?!」


ワシは驚き、そして怒りを覚えた。水神が誰を専属連絡係にしようとワシに関係ないなら良い。だが同じ神としてこんな自分勝手な奴を側近にする水神にも、仕事を此方に押し付けようとしてくる馬鹿にも腹が煮えくり返りそうになった。


「水神よ、どうしてこのような奴を専属連絡係にするのじゃ。別の者にした方が良いのではないか?」


「いやよ。私が見つけた面白いものの一つが彼だもの。変える気は無いわ。」


水神の奴はあの馬鹿を変えるつもりはないらしい。では仕方ないの。


「水神よ、この国に居たければ其奴を専属連絡係から外すことじゃ。お主もやっと天界から戻って来た身じゃ。居座る国が無いのは困るじゃろう?」


無理矢理にでも彼奴を水神から引き剥がすとしよう。ワシは戦闘態勢に入った。


「・・・何?炎神さぁ、彼を私から無理矢理引き離そうとしてない?」


「そう受け取ってもらって構わぬよ。この様な奴は神の側に置くべきでは無いと思うが故な。」


一足触発になってしもうたの。まぁ良い、水神は気が変わりやすい。一度引き離してしまえばまた別の奴を専属連絡係に置くじゃろ。


「私に勝てると思ってるの?」


「此奴を守りながらなら戦うお主に負けるほどワシは弱っておらぬよ。」


さて水神はどう来るか。


「や、やめて下さい!ここで戦われては困ります!」


神楽坂が止めに入って来た。まぁ神楽坂の立場からすればそうであろうな。


「神楽坂よ少し離れておれ。ちとそこの馬鹿を始末したら終わるからの。」


そう言って始末するべき馬鹿を睨みつけると、、、奥に、物凄い形相でこちらを見ている脅威と、目があった。





・・・・・・・・→





「と、思っていたんじゃがな、受け入れてやっても良い。」


「は?いきなりどうしたのよ。」


「まぁ同じ神であるもの同士、助け合わねばな!ハハハハハハ!」


あっぶなぁぁぁぁ!!!思い出したわ、彼奴、勇者の恩人とかゆう爆弾ではないか!勇者と水神が相手だと勝つのは無理じゃ。さすがにワシも自殺願望はないわ!


じゃが水神を無条件で受け入れるのも嫌じゃ。


「のう水神よ。ワシもお主と共に住むのは良いのじゃが、仕事を手伝って貰えはせんかの?」


「え、嫌よ。」


「そうは言ってもお主は居候する身じゃろ。ある程度は助けになってもらわんと困るのじゃ。」


「私がここに住む事こそ貴方にとって助けになるでしょ。」


「ぐっ・・・。」


確かにそうじゃ。過去に大国を滅ぼした神、それがワシの国に住んでおる。これは敵対勢力への牽制になる。例え水神が動かずとも。


だから此奴との口論は嫌なのじゃ。頭の回し方は奴の方が上手じゃからの。


じゃがこのまま条件を呑むとワシの立場上・・・。


立場上・・・?この状況、対等な立場での会話か?脅迫ではなく?


ワシは爆弾を見つめ心を読んだ。


『これダメだったらネカフェにでも居てもらうか。アクアは嫌って言ってたけど。仕方ないよね。』


・・・なるほど。間違っても水神を泊めない結果になるのはやめた方が良いの。本当に此奴は命知らずよの。下手すればワシの国まで巻き込んで来るのがタチ悪いわ。


「分かった、分かったのじゃ。水神はワシの寝床で好きにしたら良いわ。じゃが仕事の邪魔にならぬようにしてくれ。」


「ええ分かったわ。ありがとう炎神ちゃん。」


「はは・・・。」


もう乾いた笑い声しか出んわ。


「のう神楽坂よ。水神の世話まで頼む事になるが大丈夫かの?」


「はい!水神様の面倒まで見れるなんて嬉しいです!問題ありません!」


神楽坂が満面の笑みで答えた。


ワシの味方はおらんかったのか・・・


「神楽坂ちゃん、ちょっとここに置きたい物があるんだけど!」


ワシの家なのに何故か水神の私物だらけになる予感がしてワシは心の中で泣いた。






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