授業と授業の隙間
[日々 和也視点]
世界史の授業が終わった。俺が小テストの点数を見て落ち込んでいると、隣で一緒に話していた彼が話しかけてきた。
「僕の名前は白菊 未来(しらぎく みらい)って言います。ではまたこの時間に会いましょう。神谷大学の七不思議君。」
そう言って教室を出て行ってしまった。神谷大学の七不思議って何だ?俺のこと知ってるって事だよな?
次の授業は昼からなので、数時間空きが出来てしまっている。俺は図書館で本でも読もうかと足を向けた。しかし、道の途中で声をかけられた。
「おい、お前。3年の日々 和也だよな?ちょっとツラかせや。」
おっとガラ悪い人に捕まってしまった。一応無視して行こうとしたが腕を掴まれてしまった。そしてそのまま図書館裏まで連行された。
「えっと、何の御用で?」
「お前神谷大学生なのにスキルがしょべえんだってな。痛い目に会いたくなきゃ金出せよ。」
彼は拳に鉄を纏わりつかせ、脅してきた。
「え?カツアゲ?って事は君1回生か!」
「それがどうしたんだよ!」
俺は焦った。彼はここのルールを知らない。
「こ、ここではやめとこうぜ?バレたらマズイだろ?」
「だからここまで来たんだろうが!舐めてんじゃねぇぞ!」
俺は顔を殴られた。結構痛い。肉弾戦なんてした事ないから耐性がない。涙も出てきたが今はそれどころじゃない!
「やめろ!ここで暴力を振るう事でどうなるか君は分かってないんだ!」
「バレなきゃいいんだよバレなきゃ!」
「ではバレたので大人しくして下さいね。」
ヒェ、叫びそうになった口を抑え、その声がした方を見た。
そこにははっとり先生ともう1人、女性が立っていた。黒髪で先端が少しウェーブがかかっている。目つきは鋭く、手には刀を持っている。理事長だ。
「学校では緊急時以外の暴力は認められていません。特にスキルでの攻撃は以ての外と、最初の説明会で話されていたはずなのですがね。」
「なんだこのババア!」
あ、こいつ死んだ。
「ふむ、理事長、この者に罰を与えてもよろしいですか?」
はっとり先生が許可を求めた。いや、あなたがやるのは理事長より怖いよ。
「いやまて安部君、被害も彼の顔に1発入れただけ。ここは彼に退学して貰うだけで良いじゃないか。」
「理事長のお心のままに。」
理事長が刀を抜いた。刀身が妖しく光っている。そしてあのガラが悪い彼は・・・あ、逃げようとしてるね。理事長って聞いてビビったな。
その後理事長が彼を切るのは一瞬だった。彼が逃げようと背中を見せた瞬間背後からバッサリだった。でも血は出ていない。理事長の恐さはここからなのだ。
「あれ?俺何でここに?」
ガラの悪い彼が辺りを見渡していた。そこに理事長が刀を彼の頭に突き刺した。
「君は退学届を提出したくなったね?」
「おう、なった。」
「そして言葉遣いも直したくなったね?」
「はい、なりました。」
「よろしい、では今すぐ帰って退学届を書きなさい。」
「はい、直ちに帰って退学届を書きます。」
理事長が刀を抜くとガラの悪かった彼は走って門まで行ってしまった。これから退学届を書くのだろう。
「ねぇ、君。」
ここに君と呼ばれる人は俺しかいない。
「は、はい!」
「ここで見て聞いた事は言ってはいけませんよ。」
「分かりました!」
「では私はここで。」
理事長とはっとり先生は理事長室がある練まで歩いて行った。俺はもう図書館に行く気力も出ず、その場で座り込み昼食時になるまで休んだ。
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