そういえば大学生でした

[日々 和也視点]


うーん、寝起きがいい。ゲーム機没収されたからだな。はぁ。


「和也〜、ご飯よ〜。」


下から声が聞こえた。俺は下に降りて母さんと一緒にご飯を食べた。


「ねぇ、父さんは?」


「父さんならもう家を出たわよ。一時間前にはね。」


父さんは会社の偉いさんをやっているらしい。でもどんなに聞いても会社の名前は教えてくれない。


「そういえば和也、そろそろ大学始まってるんじゃないの?」


ギクッ


「ま、まだ春休みだよー。明日からかな?」


「大学の授業で何を履修したのかって、親にも配達で届くのよ。ほら見て、、、見なさい。授業開始日は4月2日ってなってるわよね。今日は4月5日。・・・どういう事かしらね?」


・・・・・・


「今日の予定は決まったわね?」


「はい・・・。」


という訳で大学に行く事になった。


俺が行っている大学、私立神谷(かみや)大学はかなり特殊な大学である。何が特殊かって挙げると山ほどあるのだが、3つだけ挙げよう。


先ずこの大学がある場所が国境沿いにあるという事だ。昔、陽炎王国の元となった日本という国は島国だった。しかし土神様が日本海を埋めてしまい大陸と繋がったようだ。それゆえ国境戦争が勃発。日本は優秀なスキル持ちが多く、前の領土よりも大きくなった。しかしいつ何時また戦争が起こるか分かったものではなかった。その時出来たのが神谷大学である。神谷大学は防衛拠点として優秀で、今まで突破された事がないと中学、高校で習った。


次に人材である。神谷大学にはノーベル賞を取った人、ノーベル賞レベルの発見をした人がゴロゴロいる。神谷大学はスキルを中心としたスキル科しかない大学ではあるが、研究レベルが高いのである。


最後に入試。ここでの入試問題は難しくない。しかし本番は面接。ノーベル賞レベルの人達が一度に並び、その前で学校でどんな事をやりたいか説明させられるのだ。その説明を気に入った先生がいれば合格でその研究室に入れられる。ただ定員が各先生に対し2人いるかいないかなのでかなり厳しいのだ。



俺は今通勤のため電車に乗っている。神谷大学の場所は神域をぐるっと回って向こう側である。神域にトンネルがあれば30分程度で着く。しかし国王よりも偉い人が住む土地に穴など開けられる訳もなく、ぐるっと回る事になったので快速でも2時間近くはかかってしまうのだ。


俺は目の前に見える神域を見ながら初めの授業が何だったか思い返していた。

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