それぞれの場所で

ーーー神域ーーー


神域、それは神楽町にある山のことである。もちろん立ち入り禁止とされている場所であり、山の周辺は警備がつくほど厳重なものになっている。


「異界の勇者、敵対は避けて正解じゃったな。」


そんな場所でくつろいでいる神が一人。炎神である。


「和也と言ったか。まぁ其奴さえ気をつければ人間界でゆっくりしても問題なさそうじゃの。」


彼女はのんびりするために神楽町に顕現した。しかし神域には何もない。暇つぶしに彼女が動き出す日は近い。




ーーー自衛官官長室ーーー


滅多に使うことのない官長室。これは現場仕事に慣れている彼女、時坂 美保だから使っていないだけだ。しかし、一人になりたい時はこの場所が役に立つ。彼女は官長室をうろうろしながら悩んでいた。


「う〜、本部に連絡するべきかしないべきか・・・。この件を知っているのは炎神様と私の二人しかいないから黙ってればバレないかもだけど、バレたら私共々クビになってしまう・・・。」


彼女は今仕事に対し公私混合するかしないかの瀬戸際である。


「でも言ったら間違いなく上は勇人君をグビにしちゃうだろうし、そうなると私との接点が・・・!」


時坂 美保は土屋 勇人に恋愛感情を抱いている。しかも32歳になってからの初恋なので拗らせているのだ。


「炎神様とは上手くいって敵対はしなさそうだし、私が言わなければ、バレない、よね?」


そしてどうやら報告しない事にした様だった。




ーーー天界ーーー


ここは神が住まう天なる世界。そこでそわそわしている神がいた。


「うふふ、もうすぐ私の監禁時間も終わる。ついに私の別荘作りが始まるのね!」


理想の別荘作りに夢踊らせながら、その時になるのを今か今かと待ちわびている。

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