今日の世界は非日常なり②

[日々 和也視点]


「ん・・・ここは・・・?」


俺が辺りを見渡すと、避難施設である公民館の中だった。俺の他にも避難してきた人が沢山いた。


どうしてここに・・・?確か家でドラ○エを・・・!そうだ、ゲームは!ゲーム機は無事か⁈い、いや、先に勇人の安否か。


俺は寝ていたクッションから立ち上がり、母さんと勇人を探した。暫く探していると、入り口近くに母親組で集まって話している母さんがいた。どうやら俺が気づいた事に母さんも気づいたようだ。


「母さ「和也!ゲームは程々にしないとダメっていつも言ってるでしょ!勇人君から聞いたわよ、ゲームのやり過ぎで疲れて寝てたって!」


「い、いや「言い訳しない!暫くゲーム機は預からせてもらいますからね!」


そ、そんなぁ・・・。あんまりだーー!


「全く、同級生の勇人君は自衛官としてしっかりやっているいうのに和也ときたら・・・」


「う、うるさいなぁ。勇人は関係ないだろ?そ、そもそも勇人はどこ行ったんだよ。」


「勇人君はあなたをここへ運んだ後、自衛官として仕事をしに行ったわよ。」


く、くそぅ。どうしてここまで精神的ダメージを受けなきゃいけないんだ。しかもゲーム没収されたし。ただ勇人の場所を聞きに来ただけなのに。しかし勇人は仕事か。母さんの言い方的に外かな?じゃあ仕事が終わるまでは会えないか。


俺は母さんから逃げるように離れ、人気の少ない廊下で避難勧告が解除されるのを待った。公民館の中は避難勧告で集まったのにも関わらず和気藹々としている。当たり前だ。この地域ではこの半年間、毎月数回は避難勧告で集められ、何事も無く帰らされているのだから。


この地域に住んでいる人は全員確実に避難場所に入れられる。避難場所に行っていないと、自衛官と呼ばれる人達がその人の自宅まで訪問してくるのだ。


しっかし、外の景色を見ようともこの建物を守る結界のせいで何も見えないのがなぁ。携帯も今は持ってねぇし、やる事ねぇなぁ。


俺が壁にもたれかかりながらぼーっとしていると、入口の方で声がした。「皆さん!避難勧告が解除されました!お忙しい中お集まり下さり、ありがとうございました!お気をつけてお帰り下さい!」結界も解除されたようで外の景色が見えるようになった。


ようやく帰れるみたいだな。勇人とはまた後で会えばいいし、今はゲーム機の安否だ!


俺は急いで帰路につき、運動不足の体にむち打ちながらも走り続けた。


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