今日の世界は非日常なり①
[日々 和也視点]
「「ウー!ウー!ウー!避難勧告、避難勧告が発令されました。住民の皆さんは直ちに近くの避難施設に移動してください!繰り返します。住民の皆さんは・・・」」
最近何度も聞いたような音が聞こえる。俺は限界近くなった頭でぼんやりと外の音を拾っていた。
俺の名前は日々 和也(ひび かずや)。ゲーム好きの大学3回生だ。
2日前、俺は待望のドラ○エ最新作、ドラ○エXXXを近くのゲームショップで購入。そのまま家に帰り今までやり続けていた。もちろん一睡もしていない。
俺は最後の力を振り絞って裏ボスを倒すと意気込んだ。しかし、下から声が聞こえた。
「和也ー!お母さんは近所のおばあちゃんを送り届けてくるから、和也も早く避難しなさーい!聞こえる?和也ー!」
まずい、返事しなかったら部屋に入ってくる。
「聞いてるよ!先行ってて!」
何とか返事をしてゲームに戻った。
「ったく、毎回毎回避難勧告ってうるさいんだよな。結局何もなくてすぐに帰らせるくせに。」
俺は段ボールの中の最後のエナドリをきめ、裏ボス戦に挑んでいるテレビ画面に目を戻した。
コンコン
ノックがされ「おい和也!避難勧告聞いてるだろ!早く避難するぞ!」
「うわぁ、うるせえのが来た。」
彼の名前は土屋 勇人(つちや ゆうと)。俺の幼馴染であり、真面目な好青年と地域の人には見せているが実は「俺はバカじゃないぞ!」
「心の声を読み取ってんじゃねえよ!」
こいつはいつもそうだ!毎回毎回先読みしやがって!
「・・・あぁ、いやすまん。しかし避難勧告が出たのなら近くの・・・ここからだと公民館に避難しないとダメだろ!」
「いやいいよ。結局何もなくてすぐに帰らされるんだからさ。」
「しかし叔母さんから避難所に連れてくるように言われてるんだ。どうせゲームしてるだろうって。」
「うわ、バレてやがる。やっぱ母ってすげぇや。」
「ほら、さっさと行こうぜ!早く行かないとゲーム禁止になっちまうぞ!」
なぜかいつもより急かしてくる勇人。だけど今は少し待って欲しい。
「あ、あとちょっと。今裏ボス戦で手が離せないんだ。」
あと少し、あと少しで倒せるんだ!
「帰ってからやればいいだろ!いいから早く!」
「いやだ!俺はここで大魔王を打ち果たし、世界に平和を・・・」
直後、勇人は俺の襟元を鷲掴みにし、ゲームの元から無理矢理引き離した。
「あ、おい!無理矢理は・・・」
この後の出来事を俺はぼんやりとした様子で見ていた。文句を言おうとした直後、俺がいた部屋の半分が光る何かに覆われた。それは炎だったのだろう。部屋に敷いてある畳が燃えているのを見てそう思った。勇人がその炎を背にし、俺をかばっている。体中に土を纏って?○面ライダーみたいだ。
そして・・・・・・
ゲームが炎の中に飲み込まれた!!
俺はショックと疲労で気絶するように眠ってしまったのだった。
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