森で熊さんと出会った。

「グラァァァァァァァァァァァ!!!」


「クソ!!クソ!!なんで、こんな浅いところにいる魔物にこんな化物がいるんだよ!!」


仁は逃げていた。

巨大な赤熊から逃げていた。

仁は、気配察知と魔力感知からこの魔物には絶対に勝てないと直感していた。

つまり、ここで、逃げきれなかったら死あるのみ。


「速ェェェェ!!この赤熊無茶苦茶速い!!身体強化のスキルレベルが高いのか、それともレベルが高いのか?多分、どっちもだろうな!!」


仁は森の深層(人がいつもいる場所より深い場所、森は奥に進むほど、魔力が濃くなる)に本格的に入るためにの事前調査として、深層の浅い場所で、うろうろしていた。

仁は、深層のどこか神秘的な雰囲気に、緊張が緩み、楽しくあたりを散策していた。

突然、赤熊が襲ってくるまでは、、、


「グルゥゥゥゥゥ!!」


赤熊が、うまい獲物を見つけたように、と誰を垂らしながら、襲い掛かってきている。


「追いつかれる!!簡易網!!狙撃!!とにかく、足止めできそうなもん、片っ端から投げつける!!」


しかし、熊の尋常じゃない膂力と野生の勘で十分な足止めにはならない。

しかし、多少なりとも体制を崩させる事に成功する。


「ここで『影縫い』!!」


「グルゥゥゥゥ!?」


赤熊は、意識外から突然出てきた、影が自分の足に絡みつき、大きく体制を崩され転倒する。

仁はこれ幸いと、走って逃げ出す。

赤熊もすぐに姿勢をなおし、人を追いかけようとするが、仁が見当たらず。

断念してしまった。


「ハァ、ハァ、ハァ、、、、危なかった。異世界にきて一番危なかった。深層に行くために準備しといて、良かった。」


仁が深層に行くために、準備したものは、基本2つ。

1つ目 『影縫い』(仁が勝手にそう呼んでるだけ) 影魔法2になって、使えるようになった魔法。自分の影を伸ばして、相手に絡めることができる。拘束力は弱い。(赤熊に効いたのは、完全に意識外からの攻撃だからと、考えられる)

2つ目は逃げ足。 これはスキルではなくて、単純に障害物の多い、森の中を走り回ることで、無駄の少ない逃げ足ができただけ。


「深層に行ったら、あんなバケモンがうようよいるのか?いや、深層に行ったゴブリンも見たことあるし、あいつが特別強いのか?まあ。分からん。

それよりも、あの熊がいきなり、俺に気づいた方が気になる。」


仁が深層を散策していた時、途中までは赤熊は自分に全く気づいたそぶりはなかった。しかし、突然仁に気づき、襲い掛かってきたのだ。


「前々から思ってたけど、もしかしてあの赤熊、魔力感知を使って、俺のことがわかったのか?ていうことは、気配隠蔽みたいに、魔力隠蔽もあるのか?

まあ、時間なんて腐るほどあるんだし、実験してみるか。とりあえず、深層に行くのは我慢だな。」


仁は今まで、配達人は肉体系のジョブだから、魔法の覚えが遅いと感じており。

今までは、日常生活に便利程度に魔法を訓練していたが、

今日から本格的に魔法を練習をすることにした。


「魔法の訓練のために、魔力が切れても森で生きていけるように、ならないと。」


この森は、地上だけでなく、地中や洞穴の中など至る所に、生物の気配を感じるので、心が休まる場所がない。

ちなみに、一番心休まる場所は木の上だ。

そのため、常に魔力に余裕を持たせるため、魔法の練習は程々にしていた。


「まあ、魔力が回復する、果物や薬草を探すために深層に行きたかったんだけどな。とりあえず、魔力切れについて調査するか。」


   翌日、俺ははぐれ狼と殴り合っていた。


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