逃走

「猪の肉って、どんな味なんだろう?牡丹鍋ってやつだよな。あれだけ図体がデカかったら、沢山の肉が食えそうだ。」


仁は、巨大猪を確実に狩れると確信していた。

なぜなら、猪の脅威度は、群れの狼より低いからだ。(狼達が連携できたら)

いた猪に関しては、突進を連発することから、頭蓋骨が太いので、狙撃とは、相性が悪い。


「とりあえず、寝てる猪に、簡易な網を投げて、目、首、腹に狙撃して体力を削っていくか。」


猪は、狼より察知能力は低いので、尾行がかなり楽。

まあ、狼と同じで、罠などにははまらない。

気配察知がある程度使えるのだろう。

罠(落とし穴など)にはまるのはゴブリンぐらいだ。


「やっと、寝たか猪。さてと準備、準備」


狼と同じように、並べた近くの木から、気配隠蔽、気配隠蔽、身体強化、石を取り出して(今回は両手に石を持って)狙撃っと。


ドンッ!ドンッ!ドンッ!


洗練された手つきで、石を連続狙撃。

そして簡易な網を二つほど、収納から取り出して、巨大猪にかける。


「ブモォォォォォ!!」


異変に気付いた。巨大猪は大声で鳴き、簡易な網をぶちぶちと破り始めていた。


「どんな生命力してやがる。とにかく、足に攻撃を集中して、狙撃させるか。」


仁は、猪の足に石を集中させ、機動力を奪う作戦にした。

しかし、足に命中した石は猪に大きなダメージを与えてるように見えない。


「この猪、もしかして、身体強化でもしているのか?おい?まじか、血が溜まってきてる。回復魔法も使えるのか!よし、逃げるか!」


巨大猪の生命力に驚き、巨大猪が、いまだに簡易網に手こずっている間に、

気配察知、気配隠蔽、身体強化で走って逃げる。


「ブモォォ!!」


背後からおそらく、巨大猪が大音量で鳴いている。

おそらく、『戦え卑怯者!』と言っているのか、『許さねえぞ!』とでも言って、怒っている。


その夜は、とにかく、猪の気配が遠ざかるまで、走り逃げ続けた。


「夜襲は一撃必殺じゃなきゃダメだな。身体強化は使えるは予想してたが、回復魔法が使えるのは予想外だった。いや、群れを作らずに生きてるんだから、当然と言ったら当然か。」


仁は、狼の夜襲をしていた時も、狼が身体強化を使っていることはわかっていた。

しかし、猪ほど強い身体強化ではなく、狼は回復魔法は使っていなかった。


「巨大猪を安全に倒すには、石器武器から卒業しないといけないな。金属の武器は一応あるけど。」


武器ゴブリンから奪った武器は多くが、壊れており、唯一、壊れていない金属製の剣がある。


「今日から、剣術を鍛えるか。」


はぐれ狼やゴブリンの群れに剣で戦い、剣術のスキルレベルを上げようとする。


数日後、俺はあることに気づく。


「あれ?剣に魔力が通せる。」


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