第93話 熊肉の和風ハンバーグ
クレハにはミンチの大量製造をお願いして。
水気の具合を見つつ……混ぜ合わせる材料をピックアップしていく。
水気は少ないようで……なら、とパン粉や卵。玉ねぎなどを準備していき。
ソースは……洋食よりは、と即席おろしポン酢を用意しよう。
「ハンバーグってなんなんだ?」
雷の長老様には、解体あとに……きゅうりの漬物をまたお出しして、それをつまみにお酒を飲んでいただいている。
「私の住んでいた国ではなく、海を越えた異国の代表料理です。作り方は、私の故郷に合わせたものですが……肉を食べやすくする料理ですね」
「……面白れぇな? ヒロの料理は美味い」
「恐縮です。もう少しお待ちください」
長老様はたくさん召し上がられるだろうから……タネが出来たら、大きめに取り分けて形を整え。
冷やして待つ工程を、クレハが軽い冷却魔法を施してくれたので……あとは慎重に焼くだけ。
表面をしっかり焼いたら……オーブンぽい窯で中まで火を通せば!
「良い匂いやわ〜!!」
「うん。生焼けじゃないわ」
串を刺して透明な汁が出てきたので、大丈夫。
仕上げに大根おろしに、即席ポン酢の器などを用意して……クレハもだけど、長老様にもお出しして。
ダウンしていたスインドさんも、少しヨロヨロしながら……顔を上げてくれたので、食べるか聞くと。
「…………少しだけ」
「私のを半分にしますね?」
さて、出来栄えは……と切り分けていると。
「「おかわり!!」」
アヤカシのふたりは……もう完食したのか、すぐさまお皿を差し出してきたのだ!
「……お味はいかがでしたか?」
「おう! 臭みもほとんどねぇな!! 柔らけぇが、味もしっかりついてるし……美味い。こっちのソース? だったか。それつけるとさっぱりしてさらに美味いな!!」
「ヒロ〜!! これ好きやわ!!
「お、それそれ!! 肴にも良いが、なんか一緒に食いたくもなる!」
「……かしこまりました」
かなり気に入られたようで……ふたりとも意気投合しちゃってたわ。洋食だけど……胡椒をちょっと強めにしたから、おろしポン酢の方が合うのかも。
私は自分の分を食べるのをやめ、残して置いたタネを焼こうとしたら。
「……俺も、おかわり」
美味しいものを食べて、気力が戻ったのか……スインドさんはほっぺをピンクにしながらお皿を差し出してきた。
(か、可愛い!?)
好きな人の……貴重な表情だわ!!
なら、スインドさんの分は……ちょっと大きいのにしてあげよう。それくらい、良いわよね?
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