第16話 ジビエバーベキュー①



「次は野菜を切っていくよ!」


「……ほんま、美味いん?」



 長老おじいちゃんに食べてもらうのもだけど……売り物にするのなら、ただ単に肉の串焼きだけにするのはもったいないと思って。


 バーベキュー串にしようと決めたのだ!!


 野菜は、モンスターでも草食系の人達が食べるからと……人間から仕入れているらしいのを露店で見つけて。


 玉ねぎぽいの。


 ピーマンぽいの。


 椎茸ぽいの。


 全部見た目は似てたけど……って理由で購入したのだ。味見しように、モンスターは基本が生食だそうなので……野菜も丸ごと食べさせられそうだったのを断った。


 衛生面では大丈夫かもしれないけど……いきなり、生はねぇ?


 とりあえず、これも下ごしらえをきちんとして……クレハお手製の串に一緒に刺すのです!



「ねぇ、クレハは野菜食べないの?」


「あんまなあ? せやかて、辛いやん?」


「辛いの苦手?」


「んー。人間が使う赤いのは平気やけど、野菜のはなあ」



 と言うことは、激辛とかは大丈夫なんだ?


 だけど……苦手を克服するのなら、今回はいい機会かもしれない!!



「クレハ。野菜って、たいていは火を通すと甘くなるのを知らない?」


「…………あまい?」


「甘いのってわからない?」


「いや、わかるで? 果物とかで甘かったり酸っぱかったりするんやろ? …………それが、野菜で?」


「そうそう。この……えーっと」


「ポルネギやんな? そのままやと辛いで?」


「これね……焼くとめちゃくちゃ甘いんだ!」



 玉ねぎはポルネギ……よし、覚えた。


 これを、さっきの包丁で切るけど……衛生面を気遣うために、川じゃなくクレハの水魔法で洗う。


 まな板は、クレハがポルネギの調理法に興味持ったから……渇いたその辺の倒木で見よう見真似に作ってくれた!!


 つるっつるの表面まではいかないけど……すごく上質なまな板だったんだよね!



「ポルネギを焼くんか……考えられん知識やなあ?」


「調味料次第では、最高のご馳走にも変わるんだよ!」


「気になるわぁ! 手伝うこと出来たら、言ってやー?」


「じゃあ、塩削るのお願いしていーい?」


「ええよー」



 ここは適材適所だから、お互いに出来ることを進めていく方がいいだろう。


 私はポルネギの皮を手で剥いて……上下を切り落としたら、太めの輪切りにしていく。こうしてみると……普通の玉ねぎなんだよね?


 水にさらすかどうかは……とりあえずやめておいて、ピーマンことパプリって野菜も半分に切って種などを除去することにした。



(うーん、楽しい!)



 異世界に転移出来たこともだけど。


 やっぱり……二度と動かないと思ってた腕が、神様のお陰で治って……また料理が出来るんだもん!


 嬉しく無いわけがない!!


 解体するまでは、鼻歌を歌ってるクレハの横で私も野菜の下ごしらえを順に進めていくことにした!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る