第12話 美少女猫又
「か、可愛い!!」
「せやろ〜?」
私が声を上げると、クレハは胸を張って自慢げに頷く。そんな仕草も可愛いとは……美少女は罪づくりだとどっかで聞いたような気がした。
「我ら『ネコマタ』は、程よく長く生きた者には……ヒトのような姿を真似することが出来る。クレハの場合はそれじゃ」
「……長老様も?」
「無論。しかし……足腰がいくらか弱っているゆえ、色々しづらい」
「……そうですか」
ちょっと、おじいちゃんの姿見てみたいけど……無理はいけないと言うもん。そこは仕方がないや。
「ヒロ! 行こうや!」
とりあえず、長老様からの許可はもらえたんだから……行くしかない。
クレハに手を引かれ、目的地である廃屋と言うところに行くことに。
美少女クレハと横に並んで歩くと……さっき以上に視線を感じた。平々凡々な私が美少女の横に居たら、そりゃ目立つか。
「……クレハって有名人?」
「んー? おじぃの孫ってだけやで〜?」
ぱっちりブルーアイを少し緩ませても……可愛いだけしかない美少女は、ほんとに罪だ。その可愛さ分けてほしい!!
あと、なんで美少女!?
口調がアレだから姐さんイメージだったのに!? 胸は……私以上にあるから間違ってはいないけど……。
「けど、長老様って偉い人の孫なんでしょ?」
「長老は複数おるで? ネコマタはあちきらの。他にも種族ごとの長老が居るんよ」
「……へぇ?」
里の仕組みとか、日本じゃ観光名所とかの企画でしか知らないから……よくわかっていなかった。
集落とも言ってたから……町とか村の寄り合いにも近いのかな??
そして……歩いて目的地に近づくにつれ、どんどん人通りが減っていく。
家みたいな建物も減っていって……だんだんとその家みたいなのも壊れた箇所が多いものになっていく。
本当に……廃屋だらけの場所だ。
「ここいらはなあ? 壊れて住めん言い出した連中らが起こした場所なんよ」
「……何かあったの?」
「んー? まあ、酒かっくらって暴れ回っただけや」
「……おいおい」
つまり、酔っ払いの喧嘩騒ぎの跡地ってことかい!?
雰囲気からして、ちょっとしんみりしちゃったのに!
「とりあえず……ここやんなあ?」
クレハが立ち止まった前の建物は。
ぼろぼろ一歩手前の、リノベーションでも直せるかどうかわからないくらい、壊れた建物だった。
「だ、大丈夫? ここで」
片付けるとはクレハが言ってくれても……とても営業する場所には思えない。
「簡単なことや。『呼べば』ええ」
「は?」
意味がわからないでいると……クレハが二又の黒い尻尾を振った。
途端、建物が光ったのだ!?
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