第11話 願いのためには③
長老の驚きっぷりに、私はびっくりしたけど……クレハは逆に笑い転げていた。
「ははは! やっぱり、おじぃでもこうなるか?」
「……おじいちゃん?」
「せや、こん人……あちきの実のじいちゃんや」
まだ、おじいちゃんである長老がぴくぴくひっくり返っても……クレハは笑い転げるだけ。どうも……人間と同じような感覚だから調子狂うな。
「み……みつか、い? ヒト……!?」
そして、長老は泡とか吹きそうだったから慌てて座布団の上に近づき。失礼だけど、猫抱っこさせていただき背中をさすってみた。
「……大丈夫ですか?」
「…………う、うむ」
ゆっくりゆっくり撫でてあげれば、震えなどが落ち着いてきたので……完全に落ち着いた頃には、また座布団の上に乗せてあげた。
「ほー? アヤカシの長老相手に、そんなんも……ヒロは肝据わってんなあ?」
「クレハが驚かせたんでしょ?」
私のことを紹介するにしても、相手をびっくりさせ過ぎだと思う。
けど、私がもし逆の立場だったら……こうなっちゃうかな?
「……あー……お主、ヒロと言うのか?」
「あ、はい」
調子が戻ったのか、長老は最初と同じ感じだった。口調とかは、すごみはなくて……少し優しい雰囲気だわ。
「クレハの友であるのか?」
「えっと……クレハがご迷惑でなければ」
「なんや。あちきはもうとっくにあんさんが友だと思っとるで?」
「……ありがとう」
人外の友達は初めてだけど……やっぱり嬉しいや。
「ふむ? して、店をこの里でか?」
「私をこちらの世界に送ってくれた……神様からのお願いだそうで」
「神からの? まことに、か?」
「はい、本当です」
そこは間違えてはいけないので、長老と目線を合わせ……真剣な思いを伝えてみた。長老もそれがわかってくれたのか……私から視線を逸らすことはなかった。
「ふむ。目に曇りはない。……であれば、信じよう。じゃが……調理を可能にするにしても、こちらでは問題がひとつある」
「問題ですか?」
「場所じゃ。廃屋しか今のところ貸せんぞ?」
「そこはあちきも手伝って、片付けるわ〜」
「……そうなんだ」
それで、クレハはちょっと困った感じだったのね?
と言うことは……リニューアルどころかリノベーションしなくちゃいけないのか。
建築技術はからっきしだけど……クレハが手伝うって言ってくれるなら、大丈夫……かな?
「よかろう。わざわざ、我が孫が言い出すくらいじゃ。許可証はすぐ出そうぞ。クレハ、ヒロをそこに案内してあげなさい」
「ん、おおきに」
「それと……その姿のままでは、色々不都合ではないか?」
「あ、せやなあ?」
クレハが長老に言われた後に、バック転をしたかと思えば。
黒髪青目の……とってもキュートな美少女に大変身したのだ!?
猫耳、猫又尻尾はそのままだったけど!!
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