第13話 家屋修復

羽音はおと 琴音ことと 杜音とおと



 クレハは何か呪文のようなものも呟いた後……廃屋のあちこちが光りに包まれていく!?


 わけがわからない私は、それをキョロキョロと見ることしか出来なかった。



「な……なに!?」



 クレハの姿が見えないくらいの光だったが、少しずつ目が慣れてきたあたりで……。


 それ・・が見えたのだ。



『いりゃしゃんせ』



 クレハが手を差し伸べた時、彼女の前に……光の球体のようなものが浮かんできた。大きさはソフトボールくらい……色は淡い黄色。


 いったいなんなのか、魔法以前に不思議体験初心者の私にはさっぱりだ。



『……応えよう』



 しっぶい、おっさ……ううん、おじ様の声が聴こえた。


 間違っても、気安く呼んじゃいけないトーンって感じだったから……思わず、背筋をピンと伸ばしてしまう。


 私は黙って、クレハと光のやり取りを見守ることにしたわ。



「あちきは、ネコマタのクレハ。長老の孫や。応えよたもれ? ここの『ツクモ』よ」


『……我はツクモのひとつ。ここそのもの。なにをすれば良い?』


「簡単や。……『戻せ』」


『……承知』



 クレハがなんか命令っぽい言葉を口にした後。


 おじ様ボイスのツクモ? って言う光はまたさらに光を強くしていき……私が耐えきれず、手で顔を覆っていたら……クレハにケラケラと笑われた。



「ヒロ、大丈夫や。もう終わったで?」


「へ?」



 言われてみれば、光が消えたような……と、ゆっくり手を外ずせば。


 あのボロッボロだった廃屋が、家財道具とかはないにしても……めちゃくちゃ綺麗になっていた!?



「説明欲しいやろ?」


「もち! クレハ先生!!」



 思わず挙手すると、クレハ先生はえっへんと胸を張った。



「あちきがさっき呼んだんは……この建物んの、『ツクモ』言う存在や。簡単に言えば、家に宿るアヤカシと思ってくれたらええわ」


「んー? それを?」


「力の一部を渡して……簡単に言えば、『片付け』させたんや。せやから、ここまで綺麗になったんよ」


「……魔法?」


「ざっくり言うと、召喚魔法みたいなもんや」



 そう言うのが出来ると言うことは……やっぱり、ここはファンタジーの世界なんだと実感出来ちゃう!!


 まだ今いるところは和風ファンタジーぽいけど。



「で、そのツクモってもういないの?」


「せやな。あちきの力使っても疲れたやろ。しばらくは応えてくれん」


「そっかぁ。……ここでお店か」



 長老おじいちゃんに借りることが出来たここで。


 小料理屋さんを開くには……相当な時間をかけなきゃ無理だろう。


 何せ、本当に家財道具一切がないんだから!!

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