第4話

【エピソード4】


おじさん!


声に気づいて、目が覚めた


林檎を持ってきたから、剥くね


ありがとう


女性の横に、小学2年の女の子


こんにちは


こんにちは。林檎は好き?


うん。でも、給食には出ないの。残念


女の子の目元は母親似で、口元は父親似かな



はい、林檎、剥けた。来月から北海道に引っ越すの


寂しくなるな


それがね、いろんな事情で、娘はここに残るの、私の母親と住むことになった


うん、だから、おじちゃんのところにも、時々、来るね


ありがとう




そうそう、この前も、ちょっと話したけど、やっぱり、私の記憶では赤い傘で、家にも、それしか無くて、写真にも黄色の傘は一枚も無いのよね


そうか。黄色でも赤色でもいい。傘は傘だから、ただの傘だから


ただの傘じゃない。


うん。ただの傘じゃない。


(おわり)

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黄色の傘、少女 @horai_japan

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