小説『ピアノ』
【エピソード4】
神戸を離れた時と同じように、今回も、それは突然やってきた。
ジャズ・バーのオーナーが負債を抱え、このバーを手放すことになった。
新しいオーナーは、ここは古臭いジャズよりも、若者向けのアウトレットのほうが向いていると判断した。
そして、アウトレットにはピアノは不似合いであることも、同時に(そして瞬時に)判断した。
ビジネスが上手い新オーナーは私を法外な値段で北海道にある公共ホールに売りつけた。
私を待っているのが暖かい拍手ならいいのだけれども。
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