その白いものは、一体なんだったのだろうか?

!~よたみてい書

運を引き寄せるもの

 突然私の目の前に現れた、頭に長い動物の耳をつけた人物。

 きっとウサギの耳をつけているのだろう。

 もし私の推察が当たっていたとしたら、この人は一体なにをふざけているのだろうか。


 私が不審な目を向けていると、うさ耳さんは私の手を握ってきて、何かをつぶやき始める。


「お嬢さん、これからわたしは二つの雪玉を手の平に乗せていきます」

「えっ!?」


 そんな冷たいものを私の手の平に乗せて一体何をしようというのだろうか。

 固い笑みを向けると、うさ耳さんが握っていた白い球を、私の手に握らせてくる。


「はい、どうぞ。大事に握っててくださいね? もし万が一落としてしまったら、お嬢さんの命が尽きます」

「えっ、ちょっと待ってください! いきなりなんですか!? どうして突然私が死ぬ運命に遭わなきゃいけないの!?」

「くっふっふ、安心してください。雪玉はもう一つあります」


 イヤだ。

 そんなもの握りたくない。


 うさ耳さんは不気味な笑みを浮かべながら、もう片方の手に雪玉を握らせてきた。

 それから両手を背中で組みながら、


「お嬢さんが握っている雪玉、どちらか握りつぶしてください。片方は当たり、明るい未来。もう一方は、無。さぁ、選んで。じゃないと、お嬢さん、命が無いよ?」


 私は恐怖を顔に浮かべながら、うさ耳さんの言葉に従い、急いで雪玉を砕いてしまった。

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