第9話 笑い



――ダンジョン、【黄泉の国】に入りレベリングを始めてから半日くらいが経過した。


延々と魂を殴り飛ばし蹴り飛ばし、元々レベリングみたいな作業が割りと好きだった私はそれに没頭した。


テテテーンッ


「おっ、あ...やったあ!!レベル50!!」


「わー!凄いねアカリ!!」


「疲れたぁ!」


「ふふ、お疲れさま」


「ありがとう!でもこれで!」


「ええ、そうね」


刀を扱える筋力値であればレベルはさほど必要でも無かった。けれど筋力値をあげればあげるほど、武器を振ったときの体力消費にも補正が入り疲れにくい。


だからいっそレベル50まであげ、そこから剣術練習に入ろうとの事になった。


「ステータスオープン!」




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



☆バトル


《アカリ》称号【ー】

職 ー レベル50

体力 3120/3120

魔力 0/0

筋力 867

攻撃 786

防御 690

魔攻 921

魔防 786

敏捷 812

運  561


《スキル》

・ー



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



はうっ...なんて素敵な眺めなんでしょう!バトルジョブじゃないから特化ではなく、全体的に満遍なく上がってしまったステではあるけれど、このレベルならどの値もミノル達にまず負けない。


※バトルジョブであれば戦士は攻撃の値があがりやすく、黒魔道士なら魔攻の値が上がりやすいなど、それぞれに適したステータスの上昇の仕方をする。


「ふふ、すごいわアカリ。これならEランクモンスターであれば素手でだって倒せそうね」


「え、マジで!?すご...」


「危ないから実際にやらないでほしいんだけど、それくらいのステータスよ」


「ほほー。了解っす」


ちなみに魔功と魔防は魔力ゼロの私にとって無意味なステータスだ。魔力あって始めて意味を成すステータスみたい。


だからミオちゃんの魔力供給頼みになります。ああ、ミオ様...。


「さてさて、剣術の前にいったん外でよっか。入口から戻れるから」


「あ、うん。剣術練習ならここじゃなくても出来るもんね」


「それにそろそろシャワーとか浴びたいんじゃない?汗かいたでしょ?お腹も空いてるだろうし」


「あ、うん。お腹ペコペコだー」


脱出口である扉まで歩き、ドアノブを回そうとした。


「...ん?」


しかしドアノブはミリも回らず動かなかった。


「ミオちゃん、これ開かないよ」


「え、そんなはずは...――あっ」


あ、これヤバいときにでる「あっ」だ。私はそう直感した。


「ミオちゃん...まさか」


「あ、えっと。ごめんなさい...湖の水が戻っちゃったみたい。...帰ろうと予定してた時間、過ぎてたかも...ごめんなさい」


申し訳無さそうなミオちゃん。


「ううん。大丈夫。私も時間、気にしてなくてごめんね。...水はどれくらいで引くんだろう」


「えっと...」


一、二時間くらいであれば、このまま剣術習っても良いし、レベリングももう少ししてから帰っても良いよね。時間は無限では無いのだから、こうした突発的に発生した時間も有効に使おう。


「三...」


三?三時間って事かな。


「...次、水引くの...さ、三ヶ月後...」


「あっはっは!」


ミオちゃんがそう告げると、私は考えることを瞬時に辞め爆笑していた。



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