第8話 レベリング
扉に触れると転移ゲートが発生。引きずり込まれるように飲まれた。
そして、目の前を覆った闇が晴れると、そこは緑豊かな森の中だった。
「ここが、黄泉の国...?」
隣に立っていたミオちゃんが頷く。
「そう。...彼らの姿が視えるかしら?」
「...うん。視える」
そこら中には半透明で火の玉のような青い炎がいくつもあった。
「そう。うん、それじゃあ始めましょう」
スッとその青い炎を指差すミオちゃん。
「この火の玉のような物はモンスターの魂...つまりまだ死して間もない、こちらに来たばかりの霊体。時間が経つにつれ再構築され霊体がモンスターの形となり、地上へ引き上げられ、生まれた命に宿るの」
ふんふん。なるほど。
「この魂は勿論攻撃力を持たない」
「まさか」
「...そう。けれど倒せば経験値が手に入る」
「ええっ。やば」
「これでレベリングをします。最低でも私の刀が持てるくらいの筋力になるまで」
「え、でも刀錆びてるよ?」
「あの状態でも鈍器として使えるでしょ。重いし破壊力抜群」
つええ。これが戦闘民族か。
「とりあえず試しに魂を倒してみて」
「わかった!...って、どうやって倒すの?」
これまで戦うなんて経験したことないから、どうしたらいいのかまるでわからない。殴れば良いのかな?
「そうね。殴っても良いし、蹴っても良い...アカリのやりやすいやり方で大丈夫よ。魂は反撃してこないから、安心して」
「ん、わかった。おりゃっ!」
――ボコッ!と魂を蹴り飛ばした。すると魂はボウッ!と燃え上がり霧散した。
♪テテテーンッ!♪脳内にレベルアップを告げる音が鳴る。
「あ、すごい!レベルあがった!!」
「おめでとう!」
「始めてのバトルステータスのレベルアップ!嬉しい!」
「うん、あたしも嬉しいわ!」
「えへへ、ありがとう。どれどれ、ステータスオープン!」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
☆バトル
《アカリ》称号【ー】
職 ー レベル21
体力 860/860
魔力 0/0
筋力 168
攻撃 151
防御 132
魔攻 190
魔防 162
敏捷 118
運 101
《スキル》
・ー
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
ええぇっ...。
「...」
「わあ、アカリ凄いね!一回で21まで上がったよ!」
あぶなっ。目見開きすぎて目ん玉落ちるかと思ったわ。
「こ、こんなに!一匹たおして、レベル21!?」
「ふふ、驚きすぎだよ。でもレベルは上がれば上がるほど経験値が入りにくくなるから、この方法であげても50付近どまりかな?」
50って、バトル本職のミノルがレベル40とかでしょ?とりまきは大体レベル35とかだったような気が。
あれ、これもしかして勝てるようになるんじゃない?私、あの人達...暗殺するまでもなくここでレベルを上げれば倒せるんじゃ。
その時私は気がつく。本来レベルアップに伴い獲得できるモノが得られていないことに。
「あ、でも...やっぱりスキルは手に入んないんだ」
「うん。あくまでアカリはジョブ商人だからね。でも大丈夫」
「?」
「スキルではないけれど、技は習得できるよ」
「技?」
「うん。私が剣術をおしえてあげる」
「剣術!カッコいい!」
「ふふっ。私は戦闘向きのデバッカーだったりするんだ。だから世界にある剣術を集積されていて、私はそこから最も強い剣術を編み出したの」
「なんだか中二ぽいね」
「むぐ、こ、この世界がもう中二でしょ!」
「あははは」
「剣術練習は刀が使える筋力になってから。はい、アカリ。それじゃあレベリングして!」
「はーいっ」
テテテーンッ
テテテーンッ
テテテーンッ
テテテーンッ
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