触手♡勇者

ろだのす

触手♡勇者

「配役」


触手:触手。男女不問。

勇者君:みんな大好きショタ勇者。一応男女不問ですが、手先サキュバスA、B、C、D、Eと兼ね役があります。よしなに。

姉御:ショタ大好きのサキュバス女山賊。雑貨屋さんと、パーティー員と兼ね役あり。


アドリブ、男女変更、その他全部OKです。


また、

触手:(ニュルニュル… ニュルニュルニュルニュルニュル)

など、カッコの中の触手の効果音は口で水音を出して演出してください。

生理的に無理なら、そのまま「にゅるにゅる」と読んでも大丈夫です。


 


====================本番ここから========================



勇者君:(M)ボイコネ台本検索。


勇者君:(M)検索キーワード:スライム。


勇者君:(M)2021年9月11日基準、検索結果:22件。




(少しの間)――――――――――――――




姉御:(M)ボイコネ台本検索。


姉御:(M)検索キーワード:触手。


姉御:(M)2021年9月11日基準、検索結果:……0件。




(少しの間)――――――――――――――




触手:俺は触手だ。


触手:……起きて見たら触手になっていた、そんなもんじゃない。生まれた時からずっと触手だった。


触手:遠くからではスライムに見えるかも知れないが、少しだけ目を澄ますと、気持ち悪い触手の塊であることがはっきり分かる。


触手:いっそスライムだったらマシだったはずだが。あいつらはボイコネからアバターまで貰ってるし。


触手:俺みたいな触手は、スライム以下の扱いをされている。




触手:仕方ないことだ。


触手:ボイコネは一応、健全なアプリだ。


触手:……いや、最近アップされてる台本たちを考えると、それも疑わしいが。


触手:とにかく、触手は見た目から卑猥だ。人々の認識も卑猥だ。


触手:こんなにキモくて卑猥なモンスターの俺が世の中で生きるすべは、たった二つだけだ。




触手:まず一つ目。みんな知ってる通り、エロい仕事だ。


触手:……残念ながら、ボイコネは健全なアプリだ。そんなこと許されない。




触手:なら残った二つ目だが。


触手:物語の序盤で、駆け出しの冒険者にザコモンスターとしてやられる役だ。


触手:こんな風に。


勇者君:おらああああっ!邪悪なモンスターめ!僕の剣をくらえ!


触手:痛っ!いたたたっ!痛い!ぼっちゃん!いくら木剣でも、そんなに強く叩くと痛えよ!痛っ!


勇者君:ふん!触手のくせにしぶといな!なら、僕のきゅうきょくおうぎを見せてやる!くらえ!ラディアントブレーーー


触手:うわわわ、分かった!降参!降参するから!ほ、ほら!倒れた!お前の勝ちだ!


勇者君:……ジャジャジャジャン~!勇者は気持ち悪い触手モンスターを倒した!2の経験値と、0ゴールドを手に入れた!


触手:報酬低っく!ていうか、勇者って…… お前, 村の雑貨屋さんちの息子だろ。お母さん心配するから早う家に帰りな。


勇者君:うるさいな!バカ触手!確かにまだ勇者じゃないけど、この森で僕の勇気を証明したら勇者になれるんだよ!


触手:この森で……勇気を証明……?


勇者君:うちの村に伝わる伝説だよ。この森は女神様が見守ってくれる森だから、ここで勇者になる資格を証明すると、女神様が直接現れて勇者に任命させてくれるんだ!お前は何も知らないのか?


触手:知らねえよ。村で俺を見て避けたり、石を投げたりしないのはお前のお母さんくらいだし。


触手:それより、こんなド田舎でそんな都合のいい話が本当なわけないやろ……そんなに勇者になりたいなら、都会に行ってトラックにでも轢かれる方が良いぞ。


勇者君:うるさい!モンスターのくせに偉そうに!ふん!やっぱ触手やスライムみたいなザコなんか、倒したって女神様に認められないよな!もっと森の奥に入って大物を狩らなきゃ!


触手:お、おい!ボイコネの森は危ないぞ!ゾンビとか幽霊とか、色んなもん出てくるわ!下手したらイチモツ噛まれるぞ!


触手:行っちゃた……大丈夫か、アイツ……


触手:……ま、良いか。俺も納品があるし、2発ぐらい抜いて村に行こうと…….


触手:(ニュル…… ニュルニュル……)




(少しの間)――――――――――――――




姉御:(雑貨屋さん)いらっしゃいませ~!


触手:お邪魔します、おばさん。ご注文下さった触手汁二本です。


姉御:(雑貨屋さん)あら、触手くん。いらっしゃい。今日は普段より量が多いよね。色も濃厚で、匂いも濃くて……ふふっ、良い品物が作れそうだわ。いつもありがとう。


触手:いえ、こちらこそ。こうしておばさんが取引してくださるお陰で、 村の近くの森にでも住み着くことが出来ましたから。


姉御:(雑貨屋さん)本当にもう、触手君はこんなに優しくていい子なのに…… ご近所さんたちはどうして分かってくれないのかしら。


触手:そりゃまあ……俺、触手ですから。


姉御:(雑貨屋さん)そんな風に考えちゃダメよ。あなた自ら自分を縛っちゃってどうするの。ちゃんと偏見と立ち向かわないと。自分が何者であるかは、自分が決めるのよ。


触手:ぜ、善処します……


姉御:(雑貨屋さん)……ところで、あなた、森から来たんでしょう?うちの子を見かけなかった?


触手:はい?あいつ、まだ帰ってこなかったんですか?


姉御:(雑貨屋さん)あの子が森で遊ぶのは珍しくも無いけど、普段ならもう帰って来る時間なのに ……


触手:あいつ…… 勇者の証明だの何だの言いながら、森の奥へ行ったんですけど……まさか……


姉御:(雑貨屋さん)ど、どういうことなの!?


触手:おばさん!ここで待ってください!自分が探しに行きます!


触手:(ニュルニュル… ニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュルニュル…)




(少しの間)――――――――――――――




触手:ぜえ…… ぜえ…… ど、どこだ。どこに行ったんだ、あいつ……


勇者君:うああああああああん!助けて!誰かああああ!


触手:っ!この声は!


姉御:うふふふふ。こんなに深~い森の中に一人で来るなんて。ダメよ?ほ~ら、悪いお姉ちゃんたちに捕まっちゃったじゃない?


勇者君:ひいいいい!放せ!何をする気だ!


姉御:それはもちろん、わる~い子には~二度とわる~いこと出来ないよう、お姉ちゃんたちが体を使ってぇ、お・し・お・き、してあげなきゃねえ~


勇者君:やだやだ!お家帰りたい!誰か助けてええ!


姉御:うふふっ、怯えちゃって、可愛い……大丈夫、お姉ちゃんたちに任せ……


触手:(被せながら)おい!そこのセンシティブ共!いい加減にしろ!そいつから離れやがれ!


姉御:……なによ、あんた。……触手?同業者かしら?ちゃんと順番を待ちなさい。


触手:一緒にするんじゃねえよ!つーかお前ら何者だ!どいつもこいつも破廉恥な恰好しやがって!


姉御:見ればわかるでしょう?ショタ勇者が主人公なら、どんな作品でも現れて行く手を阻む存在 たち……


姉御:サキュバス山賊団よ!おほほほほほほほ!


―(山賊笑いタイムです。色っぽく笑っても、山賊ぽく笑っても大丈夫です。好きなだけ笑ってください。)


勇者君:(手先サキュバスA)おーほほほほほほほほほほほほほほっ!


姉御:(同時に)おーほほほほほほほほほほほほほほっ!


触手:……やばい。ゾンビや幽霊よりも厄介な連中と出くわしちゃった……


姉御:分かったならさっさと消えなさい。私たちはこれからこの子と有意義♡な時間を過ごすつもりだから。


触手:そうはさせないな。ボイコネは一応健全なアプリだ。お前らみたいなはしたない奴らのはしたない行為なんぞ許されるわけがない。


姉御:ふふふ、分かってないわね。あんたみたいな触手と違って、私たち人型キャラクターは何をしても許されるのよ!


勇者君:(手先サキュバスA)人を太ももに挟んだまま、声で殺したり!


姉御:人を家や倉庫に監禁して、ぶん殴って殺したり!


勇者君:(手先サキュバスB)人の体をバラバラにして、冷蔵庫に入れたり!


姉御:何でも許されるのよ!


触手:……知らない人が聞くと、ボイコネは相当ヤバいアプリだと誤解されるよな。


姉御:は?誤解?


触手:とにかく、そいつは俺の知り合いだ。汚らわしい真似はいい加減しといて、そっちこそさっさと失せろ。


勇者君:(手先サキュバスA)はっ!存在自体が汚らわしい触手の分際で何を!


姉御:どうやら「わからせ」が必要なみたいね! 貴女!やっておしまい!


勇者君:(手先サキュバスA)分かりました!お姉様!


触手:……やるしかないか。


勇者君:(手先サキュバスA)抵抗する気?無駄よ。下等モンスターらしく、無様に死にな……


触手:(被せて)隙ありい!


触手:(ニュルッ!)


勇者君:(手先サキュバスA)ひゃうん! 気持ち悪い触手が、全身に纏わりついて……やあん♡


触手:まだまだ!そらあっ!


触手:(ニュルッ!ニュルルッ!)


勇者君:(手先サキュバスA)あひん!そんな!両手両足を拘束されちゃったよ!ああん!足ひろげないで♡


姉御:あ、あんた!人にそんなはしたないカッコをさせちゃって!(じゅるる)い、いったい何をする気なの!?(ワクワク)


触手:そりゃもちろん、「あれ」に決まっているだろ!


勇者君:(手先サキュバスA)あ、あれって♡ まさか♡


触手:その「あれ」だ!くらえ!大雪山(だいせつざん)……八つ裂きの刑!


勇者君:(手先サキュバスA)え。


姉御:え。


触手:(バキッ)


勇者君:(手先サキュバスB)いやああああ!サキュバスAの体がああああ!


姉御:お、落ち着きなさい!あなたたち! 人の体が大文字にバラバラになるくらい、ボイコネでは良くあることよ!


触手:見たろう!死にたくなければさがれ!


姉御:調子に乗って…!次は貴女がお相手しなさい!ほら!


勇者君:(手先サキュバスB)ううう……サキュバスB、行きます!


触手:次から次へと……おらっ!


勇者君:(手先サキュバスB)ふん!汚い触手伸ばしちゃって!見え見えよ!同じ手にはやられないわ!


触手:かかったな!たっぷり浴びろ!


触手:(ドピュッ!ドピュッ!ドピュッ!)


勇者君:(手先サキュバスB)きゃっ!なに!触手の先端から変な液体が…!


勇者君:(手先サキュバスB)にゅ、にゅるにゅるで……凄く……濃厚で……♡ 匂いも……クラクラして……体が熱い……♡


姉御:そんな……そ、その液体って、まさか……!(ゾクゾク)


触手:はい、酸です。


勇者君:(手先サキュバスB)え。


姉御:え。


触手:色んな使い道があって雑貨屋さんや加治屋さんたちに好評です。


勇者君:(手先サキュバスC)いやああああ!サキュバスBの体がああああ!


姉御:お、落ち着きなさい!あなたたち! 人の体が跡形もなく解け消えるくらい、ボイコネでは良くあることよ!


触手:まだまだ行くぞ!うりゃあああ!


触手:(クシャッ!クシャッ!クシャッ!)


勇者君:(手先サキュバスD)いやああああ!サキュバスCの体がああああ!


姉御:お、落ち着きなさい!あなたたち!人の体がケバブみたいに串刺しになるくらい、ボイコネでは良くあることよ!


触手:あたたたたたたたたたたたた!!!


触手:(ドッスン!ドッスン!ドドドド!)


勇者君:(手先サキュバスE)いやああああ!サキュバスDの体がああああ!


姉御:ちょ、良い加減にしなさい、あんた!なんでそんなに強いの!下等なザコモンスターのくせに!


触手:知らないのか?触手はもともと、女性キャラにだけは強いんだよ!


姉御:なら普段通りエッチなこととかしなさいよ!何勝手に無双してるのよ!ボイコネって健全なアプリと言ったでしょう!?


触手:悪かったな。今頃の創作の業界では、エッチなことには厳しいが、血と暴力には寛大なんだよ!


勇者君:(手先サキュバスE)い、やああああ~~~!触手怖いいいいい!!たしゅけてええええ!お母さあああああん!!!


姉御:ちょ!あなた達!勝手に逃げないで!こらっ!


触手:……残りはお前だけだ。大人しく降参したら命だけは助けてやる。


姉御:そ、そんなこと言ったって!降参したら私に乱暴する気でしょう?エロ同人みたいに!エロ同人みたいに!


触手:勝手に期待すんな!さっさと巣に帰りやがれ!


姉御:ふん!こんなに好き勝手にやられて、大人しく引き下がるわけないじゃない!私もサキュバスのプライドがあるのよ!


触手:いや、幼い子供に手を出す時点でプライドもクソも無いだろ。


姉御:お黙り!……仕方ない。やはり毒は、毒を以て制するべきね。これはあまり使いたくなかったけど……!


姉御:見てなさい!テンタクル・オーバーホール・メタモルフォーゼ!!


勇者君:(M)サキュバスの全身が光に包まり、魔法少女風の変身シーンが流れる。長ったらしいバンクシーンの末に現れたのは、10本のぶっとくて淫靡な触手が生えた、ぐにゅぐにゅと蠢くレオタードを身にまとったサキュバスだった。


触手:……貴様、その姿は……


姉御:ふふふ……やはり知ってるよね。そう。数多い触手物の中でも、選択されたヒロインだけが身に付けられる禁断の装備……


姉御:触手スーツよ!!


触手:……


勇者君:……うわあ……


触手:……この台本の作者が普段何を楽しんでいるのか、また一つ暴かれたな。


姉御:これで性別による相性は無くなったわ。いくよ、英雄気取り。触手の数は十分かしら。


触手:偽物が作り上げた贋作(がんさく)など……!上等だ。触手同士、仲良く絡み合おうじゃないか!


勇者君:(M)地面を蹴り、2匹のモンスターがお互いに触手の嵐を放つ。その姿は酷くセンシティブで、淫乱で、でもどこか、美しかった。


触手:うおおおおお!くらええええ!テンタクル・ブレード・ストオオオオオオム!


姉御:何よお!エターナル・ダークネス・テンタキイイイイイイル!


触手:くっ!さすが手強い! これはどうだ!テンタクル・バイオ・プラズマアアアアアアア!


姉御:そっちこそ!サンダー・テンタクル・マトリッツオオオオオオオ!


触手:終わりだ!必殺!触手・塩かけ・踊り食いいいいいいいい!


姉御:残念!見えてるよ!超電磁・タコヤキイイイイイイッ!


勇者君:(M)ぶつかり合う触手の波。離れた場所からその光景を見る少年の脳裏に、数々の当惑(とうわく)が浮かぶ。


勇者君:(M)あの触手はなぜ、あんなに必死に自分を守ってくれてるのか。


勇者君:(M)キャスト達は随分と叫んでいるけど、防音対策はしっかりとっているのか。


勇者君:(M)作者は、たかがあんな必殺技名を考え出すため、執筆期間を2週間もずるずると伸ばしたのか。


勇者君:(M)そんな疑問に答えを出す間もなく、一方の触手が一つずつ千切れ、やがて、動けなくなった。


触手:くっ……しくじったか……


姉御:ふん。触手にしては随分頑張ったけど、所詮は下級モンスターね。私たち人型キャラには勝てないわけよ。


触手:いや、お前、今どう見ても立派な触手だろ……


姉御:うるさいわね!……まあ、そこで見てなさい。あんたが命がけで守ろうとしたあの子を、あんたの目の前でおセンシティブしてやるわ。


勇者君:ひ、ひいいい!近寄るな!


姉御:うふふっ、そんなに木剣をぶんぶん振っちゃって、可愛い……じっとしてて。お姉ちゃんがこの触手で、耳かきしてやるから……


触手:や、やめろ……そんなニッチなジャンル……!動画配信サイトでも年齢制限が掛かる行為だぞ……!色んな人から抗議される……!


姉御:コーギィなんだワン!……って、まだ減らず口を叩くのね。いい加減静かにしなさい!


触手:ぐはあああっ!


勇者君:しょ、触手!う、うああああ!このっ!このっ!もうあいつに酷い事するな!


姉御:痛っ!いたたっ!木剣が地味に痛い!もう!悪い子ね!少しキツイお仕置きが必要かしら!


姉御:(にゅるにゅるにゅる)


勇者君:うわああああ!にゅるにゅるして気持ち悪い!放してよ!


触手:くっ……!やめろおおお!


触手:(にゅるにゅるにゅる)


姉御:ちっ!死にぞこないめ!最後まで気持ち悪く纏わりついちゃって!足掻くんじゃないわよ!このっ!


触手:ぐっ!ぐはあっ!に、逃げろ!ぼっちゃん!逃げるんだ!


勇者君:しょ、触手!で、でも……!


触手:良いから早く!戦いの邪魔だ!お前は街に戻って、村人を呼んで来い!


勇者君:う、うん!


姉御:……あーあー。行っちゃった。鬱陶しい。でも、まあ?あなたの息の根を止めた後でも、全然余裕で追い付けられるわ。というわけで、覚悟しなさい!


触手:……おい、お前たち。お前たちもあんな小さな子を傷付けたくないだろ?


姉御:はあ?あんた、今何を言って……


触手:いつまで「えっちなモンスター」とか、「卑猥な形」とかに縛られるつもりだ!ちゃんと偏見に立ち向かうんだ!目を覚ませ!


姉御:気でも狂ったかしら?哀れね!良い加減、終わらせてやる!


触手:自分が何者であるかは、自分が決めるのだああああ!!


触手:(パキーン!)


姉御:っ!?な、何!? スーツが……勝手に暴れて……ま、まさか、こいつに共鳴している!?ひゃあん!


触手:……お前も分かっているだろ?触手スーツって物はさ……


姉御:ひゃあん!しょこぉっ♡ らめえ♡ しょんなにいっ♡ こしょこしょしないれぇっ♡


触手:結局暴走して、着た者を酷い目に合わせるオチに決まってるんだよ……


姉御:ひやああああああああん!らめええええええっ!苗床にされちゃううううう!


 


――――――――――――――――――――――


 


勇者君:(M)しばらくの後。


勇者君:(M)村人を連れて帰って来た少年の目に映ったのは、


勇者君:(M)巨大な規模に増殖したものの、明らかに無害な動きで平和に蠢く触手の群集(ぐんしゅう)と。


勇者君:(M)その前に、満身創痍になって倒れてる、1匹の触手モンスターであった。


勇者君:しょ、触手!しっかりしろよ!おい!


触手:よ、よお、ぼっちゃん。ちゃんと言うこと聞いたじゃねえか。大したもんだぜ。


勇者君:ぼ、僕のためにこんなになっちゃって…!も、もう大丈夫だよ!今すぐ村に連れて、手当してあげるから……!


触手:良いんだよ、俺はもう疲れた。このまま休ませてくれよ。


勇者君:そんな……そんな……!


触手:……ぼっちゃん、その変わり、一つだけ約束してくれ。


勇者君:……え?


触手:……偏見の虜になるな。自分が作った枠に縛れるんじゃない。自分が何者かは、他人じゃなく自分で決めるのだ。


勇者君:……うう……それ、一つじゃなく、三つだよぉ……


触手:……ははっ、わりいな。……勇者になりたいんだろ?女神さんの認めなんか無くても、お前が勇者の心を持てば、きっとなれるさ。


勇者君:う、うん! 僕、ぜったい勇者になってみせるよ!


触手:ああ……期待して待ってるぜ……


勇者君:……しょ、触手?おい!目を覚ませ!触手ううううううーーーーーー!!


 


(少しの間)――――――――――――――


 


勇者君:その後、村人たちは自分たちが偏見に染まっていたことを反省し、触手の勇気と献身を称えるため、毎年「勇気ある触手の祭り」を開いている。森の中で大量に増殖した触手たちを招いて、一緒に触手踊りを踊ったり、河で触手すくいをしたり、触手の形をした触手飴を作って、みんな口の中に触手を……


姉御:(パーティー員)めちゃくちゃ淫乱な村だね……色々キモイわ……


勇者君:酷いな。それでも僕の愛する故郷なんだよ。


姉御:(パーティー員)っていうか、あの森って女神様が見守っている森じゃなかったっけ?女神様の降臨とかは無かったの?


勇者君:まあ……それはやっぱデマだったようだ。どの村にも、あんな都合のいい伝説は一つぐらいあったし。


勇者君:でも良いんだ。僕にとってあの触手は、紛れもなく勇者だったよ。今でも僕はあいつの背中を追っている。


姉御:(パーティー員)触手勇者か……ふうん……あんたが勇者になったのは、結局その触手のお陰ってわけ?でもそんなのペラペラ喋っちゃって良いの?「勇者のメンターは触手でしたー」とか、噂になっちゃうわよ?


勇者君:良いさ。他の人に何と言われようが、自分が何者かは自分で決めるべきだよ。


姉御:(パーティー員)クスッ、何よ、カッコつけちゃって。……そろそろ行くわよ、セイン。


勇者君:ああ。かち割るべき魔王の頭が待ってるからな。




(少しの間)――――――――――――――




勇者君:(M)ボイコネ台本検索。


勇者君:(M)検索キーワード:スライム。


勇者君:(M)2021年9月12日基準、検索結果:22件。




(少しの間)――――――――――――――




姉御:(M)ボイコネ台本検索。


姉御:(M)検索キーワード:触手。


姉御:(M)2021年9月12日基準、検索結果:


触手:(M)……1件。










=============終演=============



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

触手♡勇者 ろだのす @rodanoS

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ