【付録】 第四章 設定資料集

【高速飛行形態/最大火力形態】

 グレイル級飛空艇がリミッターを解除することで変形可能な強化形態。

 前者は自身の推力だけで天界まで到達可能で、後者は浮遊島の質量の三割を破壊できるとされる。

 その強力さから、リミッター解除にはエーテリウム製の『鍵』が必要となる。

 (厳密には、変形回路の部品を取り外しできるようにして、不要なときや緊急時に外していた)

 グラティアは放棄される際に『鍵』を取り除かれたため、強化形態に変形することはできない。



【エーテル/エーテリウム】

 天界には霊力が存在せず、代わりにエーテルと呼ばれるエネルギーが空間を満たしている。

 このエーテルが結晶化したものがエーテリウムで、空の星々の構成物質であると考えられている。

 エーテリウムは金属のように加工可能。天竜戦争当時は天使軍の兵器に多用されていた。

 ただし、現代の地上ではエーテリウムは極めて希少。

 天使の祖が地上に持ち込んだ分を除くと、流星として落下したものしか存在しない。

 現存するエーテリウムは天使教会の厳しい管理下にあり、人間が自由に扱うことはできない。



【神器】

 天使の祖がそれを携えて降臨したとされる、エーテリウム製のアーティファクト。

  全部で十二種類存在し、そのいずれもが強力な武具である。

 (攻撃用の道具ばかりではなく、防御や治療の他、非戦闘の用途に特化したものも存在した)

 

 十二種のうち八つは天竜戦争で失われ、残る四つが天使の四大名門の管理下にあった。

 ルクスデイ家が没落した後、管理していた神器がどうなったのかは不明。

 神器についての情報は、限られた者だけが知るトップシークレットである。

 なお、失われた八つも全てが破壊されたわけではなく、行方不明になっただけの神器もある。



【四大名門】

 天使の中でも特に高い地位にある四つの家系。

 地上に降臨した四人の天使の祖の直系とされる。


 神の似姿クウィストデウス。

 神の精鋭ウィルフォルティス。

 神の恩寵デウスクーラト。

 神の光輪ルクスデイ。

 

 これらのうち、ルクスデイ家は当主一家が追放され、親戚縁者は名門扱いされなくなった。

 他の一族が後釜として据えられる動きはなく、三大名門に枠組みが変わるだけの様子。

 

 ちなみに各家名の由来は、いわゆる四大天使の名前や別名をラテン語に訳したもの。

 

 クウィストデウス…ミカエル 「神の如き者は?(Quis ut Deus?)」

 ウィルフォルティス…ガブリエル 「男(vir)」「強い(fortis)」

 デウスクーラト…ラファエル 「神(deus)」「癒やす(cura 三人称単数でcurat)」

 ルクスデイ…ウリエル 「光(lux)」「神の(dei)」

 

 キリスト教のように四大天使ではなく三大天使とする場合、ウリエルが外されている。



【鳥食忌避】

 天使信仰の風習の一つ。空を飛ぶ鳥は天使の使いとして食肉にされない。

 なお飛ばない鳥は普通に食べる。ニワトリはとてもメジャーな食材。

 飛ばない鳥は天使が食料として与えたもの、らしい。

 ただし有翼人は例外で、空を飛ぶ鳥を捕食することが教会公認で許されている

 有翼人にはハーピィを含めて猛禽類ベースの個体が多く、猛禽が他の鳥を食べるのは鳥として当然のこと、という理屈らしい。



【精霊信仰】

 天使信仰、邪竜信仰に並ぶ第三の信仰。

 読んで字の如く、強大な力を持つ上級精霊を信仰対象としている。

 教会や教団のような組織化は全くされておらず、それぞれの島の主のような精霊を崇める形式。

 

 田舎者の風習という偏見で見られることも多いが、現実として大都市と呼べる島ではほとんど見られない。

 いわゆる『中立』に分類される信仰だが、あくまで宗教的なスタンスに関しての中立。

 軍事や経済の分野では、天使教会と邪竜教団の双方に対し、利害得失を考慮したビジネスライクな関係を築いている。

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