それでも僕らは…
@kobuya
第1話…始まりの始まり
「すみませんー」
男の声が聞こえる。僕はパソコンを打つ手を止めて「はーい」と声の元へと行った。
「鍵…ありがとうございました」
男はそう言い残し背を向け歩き出す。
「ありがとうございました。」
僕はお辞儀をしながら応える。
…疲れた…
会社で残ってるのは僕1人。帰っても寝れないし徹夜仕事するしかない。
心療内科通おうかな…
ブラック企業で働く僕は翌日仕事の合間に心療内科に問い合わせる。
第一希望のKクリニックは予約半年待ち
第二希望のSクリニックも半年待ち
仕方なく希望にも入れてなかったNクリニックへ行く。
受付者が「では、今週金曜日お越しください」と言い電話を切る。
予約は取れた。あとは行くのみ。
金曜日…僕はC区にあるNクリニックに来ていた。
仲村さん。名前が呼ばれ診察室へ。
すると、初老の太ったドクターがこっちを見ている。
「どんな症状があるの?」と言われる。全ての事が嫌で眠れない不安や劣等感や罪悪感にに襲われると話した。
僕は不安障害と鬱病と診断された。
その他にも僕は性同一性障害を抱えている。体は女で心は男。それをFTMと言う。それに僕はFTMゲイだ。そう。男性しか愛せないんだ。
受付で上の薬局からお薬もらってくださいと言われ上の階へ行く。
薬局に入ると事務員さんが初めてかと問いかける。首を立てに振ると問診票を渡された。
書き終えて持っていった時に、薬の説明をしている人が見えた。
いや、見惚れていた。
すぐに順番がきて呼ばれる。
さっきまで見惚れていた人だ。
名札には高橋の文字が。
…高橋…
優しく説明してくれるが僕は彼の顔ばかり見ていた。しかしその左の薬指には光るものがあった。
叶わぬ恋…と言うかどういった風にみられてるかわからいから恋でもないが好意はある。
病院へ行く度からと会える…と思ったが、いない日もあった。
その後僕は遠い都会に引っ越す。
その際高橋さんが出てきて「寂しくなります」と言ってくれた。嬉しかった。
東京ではそこで新しい彼氏と住むためだ。
住んだ頃には高橋さんの存在感も忘れていたのだった。
それでも僕らは… @kobuya
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