第10話 幼なじみ

ある日の事────



「大丈夫ですか?」

「送りましょうか?」




一人で飲んで酔いつぶれつつフラフラと帰っている私に2人の男の人が声を掛けてきた。




「…平気です…」




フラつく体を時折支えながら帰る私に目がついたのか、声を掛けられたのだと────




「彼女ーー、無理しないで」

「俺達が送ってあげるから」




私は助けられる中、帰り始めると────




「なあっ!あんたら、そいつに何か用?」

「保護してやろうと思っているだけだけど?」

「保護?」

「かなり酔ってるみたいだし」

「…悪い…彼女、俺の連れだから」

「…その証拠は?」



「証拠?証拠も何も…菜々子っ!起きろっ!菜々子っ!」

「…う~ん…あれ…?…慶祐…?」

「お前飲み過ぎ!ほらっ!これで分かったろ?」



彼等は渋々、私を慶祐に渡し去った。




「一人で飲むなとは言わねーけど、こんなになるまで飲むなよ!女一人で飲むと、ろくな事ねーんだぞ!俺が見かけなかったら…お前…」


「…ごめん…ムシャクシャしてたから」



「……………」



「…とにかく帰るぞ。送るから」

「…大丈夫…タクシー拾って帰るから」

「分かった。タクシー拾うから、それに乗って帰れ!いいな!」




私は慶祐に言われるまま帰る事にした。


玄関に入るも大きいため息を吐く私。


部屋に行くも、再び部屋のドアの前で、大きいため息を吐いた。



「お帰り~」



ビクッ



「どうかした~?」




背後から声がし振り返る視線の先には




「裕斗君…」



歩み寄る裕斗君。




「…慶祐に…怒られちゃった…一人で飲むなとは言わないけど一人で飲むと、ろくな事ないんだって…」




ポンと頭を押さえる裕斗君。

ドキン



「菜々子さん美人だし酔っ払っちゃうと、すぐ寝ちゃうから津地屋さん心配してるんだよ」



スッと頭から手が離れる。




「…………………」



「男と女って平等のようで不平等なんだよね~。男の人よりも女の人が不利だって、日常茶飯事にある事だと思うよ」


「…裕斗君…」


「幼なじみだからこそ忠告してるんだよ。そんな風に言ってくれる人は仲良くないと言えないし信頼とか心開いてなきゃ言える事じゃないと思うよ~」





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る