第11話 見た目だけの女性

「あっ!菜々子、こっち、こっち」



私を呼び出した奈留弥。


待ち合わせ場所には既に奈留弥が待機していた。




「ごめん、ごめん」

「ううん。…ねえ、他には来ないよね?」

「他?来るよ。いつものメンバーと飲む…」



奈留弥が言い終える前に私は言った。




「えっ!?だったら帰……」





バシッ

背後から後頭部を叩かれた。




「痛っ!」

「バーカ!何気にしてんだよ!」

「…慶祐…」


「俺が頼んだんだよ!お前の事だし気にしてんだろうなって。つーかタイミング逃すとズルズルじゃん!」



「………………」



「あっ!すみません!生ビール…蓮は?」

「一緒ので大丈夫」

「OK。お前らは何か注文した?」

「まだ。一緒で良いよ。ねっ!菜々子」

「あー…うん」

「生4つ、お願いします!」

「はい」



「最近、どう?学校の方。共学になって、色々と大変なんじゃない?菜々子」


奈留弥が尋ねた。



「毎日、飲みまくりで、そのうち酒樽女になるぞ!」

「なっ…!」

「あー、だとしたら生よりもウーロン茶が良かったかもな」




イタズラっぽく笑う慶祐。



「ムカツク!」




私達は騒ぎ普段の私達に盛り上がる。






しばらくして─────




「あっ!もう、こんな時間!ごめんっ!私帰る!」と、奈留弥。


「あっ!ちょ、奈留っ!送る!」



2人は帰って行く。



「俺達も出ようぜ!」

「あ、うん」

「俺ん所に来いよ」

「うん」




私達は店を後に帰る。




「奈留弥ちゃん、綺麗になったな」

「そうだね。蓮君とラブラブだからね」

「なんなら俺達も成り行きで付き合っちゃう?」

「あのねー」

「あー、嘘、嘘!だって、お前に色気のいの字もねーから!」

「悪かったなっ!」



「嘘、嘘。ところで、同居人の男、裕斗っつったっけ?」

「裕斗君?」

「うまくやってる?」

「うん、やってるよ」

「しかし運命のイタズラだよなー。生徒と同居っつーのも」

「…そうだね…」


「恋心が生まれてもおかしくねーだろ?24時間一緒にいるようなもんだし」



私達は色々と話をしつつも慶祐の部屋に行くのだった。




「なあ、菜々子。お前、今まで誰かと付き合った事ある?お前、美人系だし、1回、2回と言わず、かなりモテてたんじゃ?」


「モテてたとは違うかな?確かに付き合っていた相手はいたけど、付き合ったり別れたりの繰り返しで何もなくサヨナラ」


「…何もなくサヨナラ…?って…じゃあ…お前、まさか女になってない女の子?」


「そうですけど!悪い?だったら、あんたが女にする?」

「おい…それ…問題発言だし!」


「…正直…忙しくて…私…他人よりも勉強しなきゃならなかったから」


「…そうか…」





私達は色々、話をしていた。



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