第9話 幼なじみの存在
それから数ヶ月がすぎ────
「裕斗君、ねえ今日、裕斗君の家に行っていい?」
彼女・紫尾川さんが言ってきた。
「えっ!?何?突然だねー?」
「相談があって」
「相談?」
「そう、相談」
「外でも良いでしょう?」
「え~~、良いでしょう?駄目~~?」
「……………………」
断った所で彼女は、しつこく言ってくるだろう。
「…分かったよ…」
「ありがとう♪」
そして夜─────
「ごめーん…慶祐」
「仕方ねーじゃん!」
私は幼なじみの慶祐と飲んでいた。
「ねえ、慶祐…幼なじみって…こういう時って良いよね?」
「…えっ?」
「…いや…ほら何かあったら傍にいてくれたりとか?良い話し相手になるでしょう?」
「まーな」
「…最近さ…今の生活にビクビクしている自分がいるんだ」
「えっ?」
「…私…生徒と同居してるわけでしょう?お互い、その気なんて全然ないけどさー、先生と生徒になるわけだし」
「時間の問題ってやつ?」
「…うん…」
私達は色々話をしつつ飲むと、私は慶祐の所に行くのだった。
ある日の事だった。
「菜々子先生、今日飲みに行きません?」
「えっ?」
結岐先生から、お誘いを受ける私。
「都合悪ければ、日を改めて……」
「いいえ。大丈夫ですよ。行きましょう」
「本当ですか?」
私達は出かける。
そして、その日の夜───
「こんばんはー」
「こんばんは。いつもすみません」
「…あれ…?…ここは…相上菜々子先生…の…」
「はい」
「今まで、そこまで気には止めなくて気付かなかったけど…伊吹…だよな…菜々子先生とは…どういう…義理の弟?」
「えっと…余り明かしたくはないのですが…内密にして頂けますか?」
「それは…」
「守って頂けないのなら、お教えするわけにはいきません。だって俺達の事がバレた時の事…学校の規則なら先生は御理解して下さると思うんですけど」
すると、菜々子さんが目を覚ます。
「えっ?…ご、ごめんなさい!私…また…」
私はおんぶされていて慌てておりる。
体がフラつく。
とっさに手を出したのは裕斗君だった。
ドキッ
私を抱き留めたまま、私の胸がザワつく。
「どうされますか?俺達の事、内密にして頂けますか?」
「…裕斗君…」
私は裕斗君に聞こえるか聞こえないかの声で名前を言った。
「詳しい事を聞きたいなら日を改めて、お話しします。一応、今日の事は黙っていて貰って良いですか?結岐先生」
「それは…」
「もし…誰かに話したら俺達は、あなたを敵とみなします!」
「…分かったよ…とりあえず今日の所は帰るよ」
「結岐先生…すみません…いつも…ご迷惑をお掛けして」
「いいえ。それじゃ、失礼します。お疲れ様です」
「お疲れ様です」
結岐先生は帰って行った。
「…ごめん…裕斗君…」
「えっ?どうして謝るんですか?」
「…それは…」
「……………」
「…菜々子さん…今後、気を付けて行動して貰って良いですか?」
「えっ?…そうだね…ごめん…飲みに行くのは辞めるね」
「いや…そういう事じゃなくて…結岐先生には話す事になるでしょうね。それから…後一人…紫尾川さん…彼女は…本当に要注意人物です」
「…えっ…?」
少しずつ
少しずつ
そして一歩ずつ
運命が狂い始めていく
時計の針が秒針を差していくように
ゆっくり
ゆっくりと────
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