第4話 運命

それから数ヶ月が過ぎ────12月




「ねえ、菜々子。もう少し付き合ってくれる?」

「うん、良いよ」


「ありがとう。実は私、慶祐君の友達の結歧君と付き合ってんだ。まだ友達だけど」




「えっ?そうなんだ!彼、無邪気で可愛い感じの子だよね」

「うん」

「そっか~」

「それで彼にプレゼント買おうと思ってて」

「そうなんだね。私も自分にプレゼント買おうかな?」

「えっ?」




「いや、ほら!自分自身に頑張ってる御褒美♪たまには良くない?自己満足じゃないけど。勿論ナルシストでもないよ」


「くすっ…大丈夫だよ。自己肯定感だね」

「大事らしいよ」




私達は色々と話をしながら街をブラつく。





そして、奈留弥と別れ、帰る私。


家路に着くとベッドにゴロンと横になる。




「クリスマスプレゼントか~…やる相手もいなきゃ、もらう相手もいないなーー……淋しいクリスマスイブとクリスマス。シングルベルだよ……あーーーっ!もうっ!」



「どうしたの~?」



ヌッと私の目の前に突如、顔が現れ


ドキーーッ


「きゃああっ!」




ドサッ


驚くのと同時にベッドから落ちる私。




「あ……落ちちゃった~…大丈夫?」

「大丈夫?…じゃないの!いきなり目の前に現れないで!」

「あー…ごめん、ごめん」

「心臓が飛び出すかと思ったでしょう!?」

「実は飛び出した後だったりした~」


「だったらとっくに死んでるわよ!」

「それもそうだよね~」




私達はベッドに腰をおろす。





「裕斗君、クリスマスの予定は?やっぱり彼女と?」

「彼女?いないよ?」


「えっ?だって街とか学校帰りとか、裕斗君なら目立ってるだろうし。恋人じゃなくても女友達とか、男友達の紹介とか…あっ!海外の彼女とか?実は会う約束してるとか?」



「いいえ。告白される事は何度もあるけど、色々と事情あって…恋に踏み込めなくて……」


「…えっ…!?…そう…なんだ…」




「なーんて!嘘ですよ!」

「えっ?う、嘘!?ちょっと!年上をからかわないの!」

「す、すみません」

「私、立候補しようかな?」

「えっ?」

「裕斗君の彼女に」



「菜々子…さん…?えっと…」

「なーんて!嘘だよ。お返しーー」

「そう来たか!」

「うん」


「…でも…」

「でも…何?」





私の両肩に両手をおく裕斗君。


ドキン


すると裕斗くんの顔が近付いてくる。



「…裕斗…」





おでこにキスされた。




ドキッ






「今は先生と生徒だし特別な想いとかはないけど、そういう想いが、もし、自分の心に芽生えた時は、その時は菜々子さんに自分の想いを正直に伝えるよ~」



「裕斗君…」




「だけど何も芽生えなかった時は、何もないまま俺達は別々の道を歩む。神様は…俺達に、どんな運命をくれてるのかな?だって未来は神様しか知らないから」


「でも…運命でも、それが運命(さだめ)だとしても変える事は出来るんじゃない?」


「えっ…?」




「あ、いや…ごめん…だって…ほら!自分の人生だし…未来は見えない道で繋がっているから沢山の出会いと別れがあるわけだし」



「…………………」



「別れ道になった時、選択した道が吉と出るか凶と出るか分からないから壁にぶつかっていくわけだし」


「そうだね~。あっ、それじゃ俺、部屋に行くね~」

「あ、うん」




裕斗君は部屋を出ると私の部屋のドアの前に寄りかかり




「それが運命なら…変える事が出来る…か…出来てたら…そうしたかったかな~……彼女の運命…。…でも…俺の運命なら…それは1つの壁…神様がくれた運命なら次の道は何処に繋がっているんだろうね~…」




私の知らない心に秘めた切ない思い


一体……


彼には何があったの……?










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