第2話 生徒
新学期。9月。
「あ!そうそう!今日から先生が担当するクラスに転入生が、いらっしゃいますからご紹介致しますね」
教頭先生が言った。
「はい、分かりました」
そして──────
「えっ…?」
私は聞こえるか聞こえないかの声で言う。
「彼が転入生の…」
まさかの偶然!?
な、な、なんと私の目の前には、同居人の彼・伊吹 裕斗君の姿があった。
「宜しくお願いします!相上先生!」
「え、ええ…」
「運命のイタズラだね~?菜々子さん」
裕斗君は私達にしか分からない声で囁いた。
「それじゃ後は宜しくお願い致します」
「は、はい。ありがとうございます」
そして、私達の24時間の生活費が始まる。
ある日の朝─────
「菜々子さーん。遅刻しちゃうよ~早く行かなきゃならないんでしょう?」
「う…うん…」
バッと飛び起きる。
バタバタ……
私は急いで準備をする。
「ありがとう!行って来ます」
「スピード出し過ぎには気を付けて下さいね~」
「あ、うん」
私は学校へと向かった。
お昼前───
「先生」
ビクッ
「きゃ!」
「はい」
裕斗君は私にミニバックを渡すと、すぐに去った。
中身を確認すると、それは私がいつも持って来る弁当入れの巾着袋が入っていた。
ある日の事。
「菜々子さーん、これ違いますよ~」
「えっ!?」
「菜々子さん、先生なんですから、しっかりして下さい」
「ごめーん。ていうか…裕斗君が教壇に立って授業した方がいいかも!?ちなみに私が生徒で」
「菜々子さん…」
ちょっと呆れた様子で言う裕斗君。
私達は話をしつつも二人して予習をしていた。
ある日の事─────
♪♪~…
【菜々子、久しぶり。奈留弥だよー。今日、つごいどう?良かったら会わない?ていうか会えない?が正しいかな?】
奈留弥からの一通のメールが入ってきた。
♪~…
【良いよ。久しぶりに会おうか?】
♪♪~
【じゃあ、いつもの居酒屋で】
♪♪~…
【うん、OK~!】
私達は待ち合わせをして会うことになったんだけど─────
「げっ!慶祐っ!?」と、私。
「よー、お久ーー」と、慶祐。
まさかの先客。
「何?二人って付き合ってるの!?」
私は驚きの余りに奈留弥に尋ねた。
「いや。つーか、後一人、俺の連れ来るし」
「そ、そうなんだ」
そして、遅れて来る男の人。
「あっ!彼、俺の友人の結岐 漣(ゆうき れん)。俺の職場の同期でさー」
私達4人は話をし、飲んで騒ぎ盛り上がるのだった。
「ただいまーーっ!」
「あっ!おかえり~、菜々子さん」
次の瞬間────
ガクッ
何かにつまづき、転びそうになる私。
「きゃあっ!」
「あっ!菜々子さん!」
私を抱き留める裕斗君。
ドキーッ
「大丈夫?」
「ご、ごめん…」
「いいえ~」
裕斗君は私から離れ去り始め、自分の部屋に移動した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます