第一章 二幕 12.迎えた終わり

 刃が首に迫るそのときも、コタローは一切動かず、一切表情を変えなかった。死を享受しているようにも見えないが、おかしい。何か引っ掛かる。カオスは感じたことのない不安を抱えていた。


 コタローがかすかに笑った瞬間、カオスははっとした表情になり、刃を急いで引っ込め、コタローと距離を取った。


「……よく気づきましたね」


 コタローが表情を戻して言った。


「ああ……危なかったよ」


 カオスは手の中から時計を出現させた。「


「その通り。あなたが走り出したそのときに、時間は来ていました」


「試験官を殺していいとは言え、それは今回の試験中のみの特例。終わった途端にその行為は違反に早変わり。何も知らずにボクがキミを殺していれば、ボクは失格のついでに殺人罪までついて最悪死刑ってところだった」


「まあ、死刑というか、その場で殺害、ですかね」


「へぇ、キミって相当の権力持ちなんだね」


「いえ、刃が触れた瞬間に私が斬り殺していました」


 よく見ると、コタローは刀の鯉口を切っていた。いつでもカオスを殺すことなど、可能だったのかもしれない。それを知ったカイは戦慄した。凶刃が迫るそのときまで相手を引きつけ、まさに殺される、その瞬間にカウンターで殺し返す。実演とまではいかなかったが、本当に可能なことなのだろう。


 メイジャー……俺が思っていたよりもさらに先の存在らしい。


 横でジンがうっすらと目を開ける。


「あ……僕は、いったい……」


「目が覚めた?」


 レナが顔を覗き込む。「自分がどうなっていたか、覚えてる?」


「確か、カオスに怒りを覚えて、飛び出して、血を吐いて……それから……」


 吐血のところからの記憶が曖昧。とすると、自制ではなく、汚染された精神がコントロールしていたと言うことになるか。ルギオはそう推測した。何はともあれ、現状におかしい点がなくて良かった。


「……とにかく、おめでとう、みんな」


 考察にふけるカイにお構いなく、ルギオが五人に向けて拍手を送る。唐突な終わり方ではあったが、これで六人全員が合格した。終わり方も祝い方も唐突すぎて、それぞれがまばらに嬉しさを態度に出す。


「ルギオさんこそ、合格おめでとうございます」


 状況を知らないジンが穏やかに返す。「これで僕たちはメイジャーなんですね」


「なんだか実感が湧かないね〜」


 少しでも雰囲気を明るくしようと、レナがわざとおどけてみせる。


「バッヂを集めただけだから、そうかもしれない」


「そのバッヂ集めがとても難しいことを覚えとけよ」


 それぞれが感想を述べる。


「にしてもカイの負傷なかなか酷そう。医者に診てもらったら?」


「いえ、この程度自力でどうにかなります。既に出血も止まりました」


「そう」


 特に気を悪くすることなく、サラがため息をついた。


「それにしてもルギオさん」


 カイが口を開く。「最後のあの勝負……凄かったですね。試験官でも追い込まれる実力の持ち主なんですか」


「カオスか」


 ルギオが答える。「あいつは試験前から有名だったよ。狂魔術者カオス。多種多様な魔術で相手を殺す、殺人狂だよ」


「そういう人達でも、試験に受かってしまえばメイジャー……」


「完全実力主義ならではの欠点だね」


 カイの考えを引き継ぐ形でルギオが言った。


 ジンがちらりとカオスを見た。視線に気づき、カオスもジンを見た。


 ジンにとって、カオスは不思議な印象を持っていた。第一印象自体は列車で拉致しようとしてきた男達となんら変わりない、極悪人だ。よっぽどタチの悪い。でも何故か悪人に対する、黒板を引っ掻く音を聞いたときのような嫌悪感はなかった。単に強さに押されているだけかもしれないが、カオスは犯罪をやっている自覚が無いように見えた。でもヴィッテのように殺しを仕事としてやってきたわけでもない。サイコパスといえばそうだが、ただ楽しみたくてやっている気がする。それが唯一の心の癒しであるかのように。


 なんでだろう。なんでカオスは、殺すことに快楽を見出せるのだろう。

 初めて見たとして奇妙なカオスに、ジンはなんとも言えない印象を抱いた。


 ※


 カオスにとって、ジンは面白い奴だと思われていた。試験官をも凌駕するスピード。あの試験官が他に集中していたこともあったけど、あの試験官の強さは本物だし、その隙を突いて一瞬の間にバッヂを奪う……素晴らしい。更にボクと戦ったときも、あれは半覚醒の状態だったが強かった。とても面白い。磨けば磨くほど闘い甲斐がありそうな逸材……


 だがまだ未熟。あの子はまだ強くなる……今は我慢だ。


 狂魔術者カオスの興味を引いたことに、ジンはまだ気づいていない。


 お互いが数秒目を合わせ、試験後の挨拶は終わった。


「皆さま、お疲れ様でした」


 スピーカーからややしわがれた低い男性の声が聞こえる。「試験会場出口を開放しました。合格者は退場後、会場前にてバッヂをお渡しください。その後講堂に案内いたします。尚、不合格者はまた次回の挑戦をお待ちしております」


 合格者がぞろぞろと移動を始めた。不合格者も移動を始めたが、明らかに顔色と姿勢が違い、合格者か否かはすぐに判別できそうだった。


「ごめん。僕トイレ行ってきていいかな?」


「私も」


 ルギオとサラが揃って離れる。「先行っててくれないか」


「分かりました」


 カイが言い、他の三人を促す。四人の姿はすぐに人混みに消えた。


 ※


 「……行ったかな」


「全員出たみたいだね」


 トイレに行くふりをして隠れていた二人が出てくる。


「お疲れ様」


 コタローともう一人、忍び装束のような黒い服を纏った女性が出てくる。長い黒髪を後ろで束ねており、口の辺りを覆ってないからか、少し大人びた表情がより端正に強調される。


「初心の頃を考えながらだから、なんとかなった」


「良い演技だったよ。ユカ」


 ルギオがサラのことを「ユカ」と呼んだ。


「お疲れナリタ」


 コタローがルギオのことを「ナリタ」と呼んだ。


「偽名で寝台列車乗るのってヒヤヒヤしますね」


「そこは協会が手を回している。問題ない」


「あ、アオイさん。水くれませんか?」


 ユカが忍び姿の女性に聞く。


「あるある。ほら、ナリタの分も」


 アオイは水入りのペットボトルを二本、ユカに渡した。コタローは少し離れたところで缶コーヒーの栓を開ける。


「にしてもコタローさんはやっぱり強いですね」


 ナリタが明るく言う。「僕は相性的にあれ勝てるか五分五分だったんですけど……コタロー様にかかれば、余裕でしたか?」


「茶化すのはよせ」


 コタローが無表情で忠告する。「それに……余裕じゃない」


「……はい?」


 そう返事したのは、アオイの方だった。「何かの間違いですよね?あのコタロー・シンエース殿が、メイジャーでもないただの受験者に、追い詰められるなんて」


 コタローは無言で右手の甲を見せる。かすり傷に等しいが、切り傷が確かにそこにあった。


「嘘でしょう……」


 ユカが愕然とする。


「相手に慈悲がなければ、ナリタが戦った時点で殺されてたかもしれないな……まああいつに慈悲などなさそうだが」


 言葉が出なくなった三人の前で、コタローは表情を険しくした。


「確かに技量自体では私たちの方が上手だ。だが天性のフィジカルで言ったらナリタと同等……いやそれ以上か」


「今年の新人は豊作ですね」


 喜んでるのか怯えてるのかよく分からない表情でアオイがつぶやく。


「たまにこういうことがある。私の時代もそうだった。いわゆる最強世代ってやつだ」


「最近頻度多くないですか?」


 ユカが言う。「私たちの世代も白銀世代と呼ばれますし」


「何かの始まり、と見るべきなのかもしれない」


 コタローが推理する。「実際十数年前から世界の均衡は崩れてきている。この程度が例年になるのかもしれないな」


 四人は揃って沈黙した。


「……あ、アオイさん。あの、外してください」


 ユカがアオイに頼む。


「あーごめんごめん。今外すよ」


 アオイがユカに近づいた。

 黄色い殻がユカの髪から剥がれるように、オーラが取れてアオイのもとに戻っていく。

 オーラが完全に外れたとき、ユカは黄色髪から黒髪へと変わっていた。ユカが髪を束ねているヘアゴムを解くと、髪型は一気に崩れ、ところどころうねりながら、背中の真ん中あたりまで降りた。


「うん。やっぱそっちが似合ってる」


「そういうのは気軽に言わないの」


「性格も戻っちゃったなぁ」


「ちょっと黙って」


 ユカはナリタに一喝した。


「相変わらずのツンツンね」


「へ……?いや、アオイさんまで急に、やめてください」


 ユカは赤面した。


「ともあれ二人は戻れ。ジンとカイ、二人への用事は終わってないだろ」


「そうでした……じゃあまた。ユカ、行くよ」


「はいはい……あ、アオイさん、またお願いします」


「いいよ。今度は時限式でいい?」


「はい」


「こうなるとさっき外した意味がないな」


 ナリタがユカを見て笑う。


「一回外さないと、自分が自分じゃなくなりそうで」


 言いながら「ユカ」は再び「サラ」に変わる。


「それなら、僕も一度ナリタに戻ろうかな」


「それはやめておいた方がいいよ。私と違って、ナリタのは替えが手元にないんだから」


 ユカに指摘され、ナリタはそうだったと手を叩く。


「うーん仕方ない。行こうか」


「それじゃ行くよ。テレポートするから」


「そういえば、列車の中で使ったろ」


「あー……バレてたんだ」


 そんな会話をしながら二人は歩き始めた。十歩ほど歩いたところでコタローが呼び止めた。


「そうだ、ナリタ」


「……どうしました?」


 ナリタが幼い表情で振り向く。


「……いや」


 コタローが引き止めようとした手を下げた。「なんでもない。二人を頼んだぞ」


「ええ」


 軽く返事し、二人は会場から消えた。後にはコタローとアオイが残された。


「……何を言いたかったんですか?」


 アオイがコタローに尋ねる。


「別に何も。ただ似てるように思えただけらしい」


「そうですか」


 アオイは正面に向き直った。


「……コタローさんから見て」


 アオイが口を開く。「あの二人はどうですか?」


「どうもなにも、私たちにとって大切な仲間だろ」


「いえ、ナリタとユカじゃなくて」


 アオイはひとつため息をついた。「ジンとカイのことですよ」


「ああ、そっちか」


 コタローはしばし地面を見て考え込んだ。二人の姿が見えなくなるまで考え込み、顔を上げ、こう言った。


「正直言って、ポテンシャルの塊だ。しかし裏を返せばポテンシャルを奥に潜めたただの石とも言える。ナリタが上手く外殻を割ってくれれば、あの二人はもっと飛躍するだろう」


「……そうですね。きっとナリタならやってくれるでしょう」


 二人はかすかに笑った。


 ※


 ジンたち四人を含む合格者は、協会の講堂に着いた。四人の他にも人は居たが、講堂が広いせいでガラガラに見える。集団で移動していたときは多かったのに、今は所々にぱらぱらと座っているだけだった。

 四人で集まって座っていると、他の受験者が怪訝そうに見てくるのがよく分かる。カイが辺りを見回した。よく見るとカムイもしっかりいる。良かった。君も合格したんだ。カイは安堵した。

 後ろを見る。いつのまにかルギオさんとサラさんもちゃんといた。講堂の後ろの壁にもたれかかっている。カイの視線に気づき、ルギオは笑って手を振った。

 講堂の教壇に七十代前後の男が出てきた。マイクを取り、先程のスピーカーから聞こえたのと同じ声色で話し始めた。


「さて、お集まりの皆様、合格おめでとうございます。早速ですが、これよりメイジャーおよびメイジャー協会に関する説明、ライセンスを含む必需品の配布と説明をいたします――」


「ごめん、ライセンスって?」


「お前知らねーのかよ」


 ジンが聞いてきたのに対しカイが突っ込んだ。普通ライセンスくらい知ってるだろ! と突っ込みたくなりながら説明する。


「――とまあ……免許証みたいなものだ。詳しくはあのじいさんがしてくれるだろ」


「へえ、じゃあメイジャーって職業じゃなくて資格なのか?」


「ッ……無知すぎんだろ……」


 知識を叩き込みたくなる衝動を抑え、カイは話に集中した。


「――そしてメイジャー協会は複数の部門によって構成されています。世界中の未発見の古代の遺跡や財宝を探し続けるトレジャー組織『MATTマット』。全メイジャー含む人々の健康観察及び医療ケアを担当するメイジャー協会医療団。通称『MAMTマント』。日々協会と世界のために研究と開発を続ける『メイジャー大学』。そして協会の中核組織とも言える、世界の警察の役割の一端を担うメイジャー協会調査団。通称『MAITマイト』。主なチームは以上ですが、他にもさまざまな部門がございます。詳しくは一月後にでもお教え致します」


「一月開ける理由って――」


「アカデミーで教わるから」


 ジンの質問が終わる前にカイが説明を始める。「試験に合格したメイジャーはすぐ一人前になる訳じゃない。メイジャーの学校であるメイジャーアカデミーに通うんだ。そこでいろいろ教えられる」


「なるほど……」


「ジンも機会があったらもっと調べておけ」


 もう手遅れかもしれんが。


「……まあ、俺とサクラは調査団一択だがな」


 カイがぼそりと呟き、横でサクラがうなずいた。


「復讐……だから?」


「ああ、そうだ。調査団の権限は国際警察よりも大きい。階級が上がれば、単独での捜査も認められる。俺たちにはうってつけなんだ」


「そうか……なら、僕たちも調査団に入るよ」


 ジンがそう言う横で、レナが首を縦に振った「これからもカイと一緒に行動したいし、僕の目標、父さんを見つけるのも、調査の一つだろ?」


「……うん、そうだな」


 カイが微笑み、サクラがびっくりする。それはジンとレナも同じで、初めは少し戸惑ったが、すぐに同じような表情になった。


「と言うわけで、これからもよろしく」


 ジンが手を差し出す。


「ああ」


 その手をカイは掴み、固く握手をした。


 ※


 その後受験番号順に名前が呼ばれ、メイジャーライセンスとその他必需品を貰う。自分の番はまだかと待っていたとき、その名前は唐突に耳に入ってきた。


「試験番号三百二十八番、ヴィッテ・アガーリム様」


「ヴィッテ⁉︎」


 カイが素っ頓狂な声を上げ、ヴィッテ含む周囲の目を引く。うっすら笑いながらヴィッテが近づいてくる。


「よう、試験振りだな」


「なんで合格してんだよ……!」


「ちょっとカイ……ちょっと〜」


 噛み付く勢いのカイを必死に抑える。そして代わりにジンがやや冷たく尋ねる。


「なんで合格してるんだ?」


「決まってんだろ。殺してバッヂを取ったんだろ!」


「落ち着け小僧。オレは殺してなんざいねえ」


 目の前に制止の合図を突き出し、ヴィッテは続ける。「ぜーんぶ拾ったんだよ。戦いの最中に落ちたバッヂをいちいち、鎖ブンブン振り回して、周りの人を遠ざけてまでな」


「そこまでして……なぜ合格したい?」


「ちょっとした心変わりだ」


 そう言ってヴィッテはジン、カイ、ルギオを順当に指差す。「お前ら三人と、いつかまた戦いたいからな。対等な立場でよ。悪いか?」


「殺し屋は……引退か?」


「ああ、残念ながらな。そしたらせっかくのメイジャーの資格を剥奪される。だから、首を洗って待ってろよ」


「ヴィッテ・アガーリム様。お早く」


 強気で呼ばれ、ヴィッテはそそくさとその場を離れる。悪魔のような表情は一応残っているが、狂った悪魔ではなくなっていたことに気づき、ジンとカイは胸を撫で下ろした。


 ※


 時間は過ぎ、全員のもとにメイジャーライセンスと、一緒に渡された箱が行き渡った。なんとなく全員で一斉に開けてみる。

 中に入っていたのは、ステムもないワイヤレスイヤホン、そしてスマホだった。形はみんな同じだった。


「電源……入れていいよな」


 何も考えずにジンが電源ボタンを押す。オープニングの色彩が揺らめくようなアニメーションが流れたあと、「魔法携帯マイフォンへようこそ」と、画面に映し出された。


「マイフォン……?」


「これが噂に聞く、魔法携帯か。メイジャーだけが持つって言う、割と万能ですごく頑丈なスマホだ」


 と、カイが感心しながらすぐさま設定を進める。「よし終わり。ジン、早く連絡先交換しようぜ」


「待って……もうちょっと待って」


「しょうがないな」


 機械の扱いに慣れていないのか、ジンとレナは初期設定であたふたしてばかりだった。ため息をつき、カイとルギオが教えにかかる。いろいろてんやわんやする場面はあったが、なんとか設定を完了し、それぞれ連絡先を交換することもできた。


「でー……このイヤホンはどう使うんだ?」


 ジンがイヤホンが入ったケースを持ち上げる。その横ではルギオが説明書を読み漁り、早速指示を送る。


「えーっとね、イヤホンを耳につける。片方だけでも両方でもいい。その後、自分のスマホとリンクさせる。あそうだ、カイもやっておいて」


 ジンとカイは言われた通りに行う。多少手間取るも、たいした誤作動は起こしていないようだ。


「オッケーかな?で、カイは遠くに行って」


「えっ……はい」


 片耳だけにつけたカイは、五人と距離を取るどころか、壁一枚挟んで姿を消す。


「よーし最後、イヤホン側面のボタンを押しながら、通信したい人を思い浮かべる。そうすると無線が繋がるらしいよ」


「えー……」


 半信半疑のまま、ジンはボタンを押し、カイを思い浮かべる。少し遅れて、かすかにノイズが流れ始めた。


「……カイ?」


 その言葉は空気を伝ってカイの耳に届く。声が聞こえたところでカイも側面のボタンを押す。「ジンか?本当に通信できるのか……」


「おお、本当にできる!」


 ジンが子供のようにはしゃぐのを見て、レナとサクラも同様に試し始める。


「これさ、複数人思い浮かべたら……」


「あ、聞こえる」


「サクラちゃんも? 私にも聞こえるよ!」


「すごい……」


 一通り遊び終わり、カイが戻ってくる。


「魔法携帯……すごいな。これで戦闘中の通信も容易というわけか」


 スマホを見つめていると、なんだか胸に達成感が湧いてきた。ライセンスや、メイジャー専用の装備を手に入れて、ようやく合格した自覚を持てたらしい……一歩、前進したな。


「合格……したんですね」


「何を今更……そういえば、まだちゃんと喜べてないな」


 ルギオが軽く手を挙げる。


「……ルギオさん?」


「ハイタッチだよ。ほら、喜びをみんなで分かち合わないと」


「それじゃあ」


 と、サラも手を挙げる。四人は顔を見合わせ、すぐに笑顔になり、手を挙げる。


「はい!」


 そのまま六人は空中で手を打ちつけあう。乾いた音が空間に響き渡った。


「メイジャー試験合格……おめでとう!」

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