ブルーとフィーナ

 ──。


 まだ、生きている。フィーナはうっすらと目を開けた。

 もう、痛みもない。寒さも感じない。あるのは耐え難い眠気だけ。


 黒い水晶は、雨のように降り続けている。

 綺麗だなぁ。フィーナはそんなことを思った。


「ぴぃ」

 その音に、フィーナは目線だけを向ける。身体はもう、動かない。

「……ブルー、か。ずいぶん、ちっこくなっちゃったね」

「ぴぃぃ」

 ブルーは生きていた。しかし、その生命は間もなく尽きようとしている。

 死にたくない。生きたい。ブルーの意思を、フィーナは感じた。


「そっか……うん。いいよ。ワタシを、あげる。食べて、それで、生きてごらん……よ」

 フィーナの手を、ブルーが包み込んだ。そして──。


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