第19章 ジパング、騒乱
第113話 みんな一緒
遥か遠い、東の島国。そこはジパングと呼ばれている。活火山が多く、【火の国】とも呼ばれる地であった。ここにかつて【黄金郷】があったとされているが、真相は定かではない。
サムライ、アオイは久々に故郷の土を踏んだ。
アレンは、何故自分が連れてこられてしまったのか理解できていなかった。行先も知らされていなかった。今もただただ、同行者たちに囲まれて狼狽している。
エクレール、レオン、ユーリ、アイリス、セレナ、シータ、リィン、ルーシー、カミラ、バーバラそしてアオイ。その中心に、アレンがいた。
事の始まりは、アオイ宛にきたジパングからの『報せ』だった。
【オロチ】が目覚める。
手紙にはそれだけが記されていたという。それだけで、アオイはすべてを察した。
それは【厄災】と呼ばれる存在。町を丸ごと飲み込めるほどの巨大な蛇、それがオロチだという。オロチが暴れると、ジパング中の活火山が噴火を始め、国は火の海に飲み込まれることになるという。
一刻も早く、封印を強化しなければならない。
そのために世界中に散っている、ジパングの巫女とサムライが招集された。
ジパングは中央都市より遥か遠くにあるとはいえ、飛翔船なら半日かからずに到着できる。ドラゴンバスターズに飛翔船を借りようとしたアオイだったのだが、運悪く全ての飛翔船が出払った後だった。
しかし、一基だけ残っていたのだ。そう、ドワーフの里に。セレナが所有するものが。
アオイはセレナに頼み込んだものの、セレナはそれを拒否。困り果てたアオイだったが、セレナがアレンと『友人』関係にあることを知る。
友の頼みなら動いてくれるかもしれない。アオイはアレンに、セレナへの交渉をお願いする。そしてまさかの即許諾。ただし、アレンも同行させることが条件となった。
それが、これの始まりだった。
エクレールはもともとアレンと契約している精霊なので、同行は当然の成り行き。それは仕方のないことだったが、他は違う。
まずヘルハウンドの獣人レオン。彼女は勝手に乗り込んでいた。アレンと離れたくないとの理由だった。
次にユーリ。彼女はジパングにあるという古い書物を読む、あわよくば入手したいがために同行。彼女もやはり勝手に乗り込んでいた。
アイリス。居合わせたのはたまたまだったが、どうやらアレンに会いに来ていたらしい。アレンがジパングに行くなら当然私もいくでしょみたいな勢いで、誰が止めるも聞かず強行突破。勝手に乗り込む。
セレナも、ドラゴンバスターズからの召集がかかっているものの、船を動かすならわたしも同行せざるを得ないと言い、通信で、副団長クライムを説き伏せる。優秀な操縦士でもあるので、彼女の同行は仕方ない。
シータ。セレナとクライムの通信を盗み聞きした彼女……いや、彼は、こっそりと作戦から離脱。いつの間にか乗り込む。後で厳罰が処せられることだろう。
リィンとルーシー。アイリスがドワーフの里へ行くのを見てついてきた彼女たち。一部始終をみて『パパと一緒に旅行』と言い出したリィンが勝手に船に乗り込んだ。それをどうにか引きずり降ろそうとしたルーシーだったが、間に合わず。致し方なく、リィンの暴走を抑えるために、睡眠魔法をかけ続けていた。
カミラもアレンと離れるのが嫌で、動物に変化してこっそり乗船。それに気づいたバーバラも出発間際に無理やり乗り込んだ。
ジパングが抱える問題はオロチだけではなく、戦力は大いにこしたことはない。アオイは勝手に乗り込んでくる皆を快く受け入れた。
アレンはなんでこんなことになっているのか、やっぱり一つも理解できないまま、みんなの中心で変な汗をかき続けていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます