調査記録──???

 私は一人、鉱山へと入る。邪悪な気配はない。

 ドワーフたちはすでに鉱山にやってきており、モンスターたちが荒らした箇所を片づけたり修復したりしている。


 私はあの巨大なカニがいた場所へとやってくる。

 邪悪なマナの残滓を感じる。

 私は辿る。お前は一体、どこからやってきた……。


 ──。



 ──やはり。

 を中心に、根のように広がっているのか。

 今の私一人では対処できそうにない。せめて世界樹のマナが供給できれば……。しかし世界樹は外界から隔たれており、マナのつながりは途切れている。力を引き出す術があればよいのだが。


 しかし、驚くべきは冒険者。

 あのアレンという冒険者は【初級冒険者】ということだが、その成長は著しい。

 初級冒険者。その上に【中級冒険者】、【上級冒険者】、【特級冒険者】というようなランクがあるという。それら多くの冒険者たちとのつながりをもてれば、いずれ問題を解決することは可能だろう。


 楽観視しているわけではない。だが、ほんの少しとはいえ冒険者という『可能性』を知った今では希望を抱かずにはいられない。

 そして。未来の冒険王が、中央都市から生まれるかもしれないという期待。

 冒険王と知り合い……なんてことになったらどうしよう。サインもらえるだろうか。


 ああ。そういえばまだ新刊全部読んでいない。

 はやく読みたい。そういえばあの本とあの本も欲しいな。恋愛モノはよくわからないけれど、ちょっと興味があるし。

 うーん。本屋行きたい。あのアレンなら快く付き合ってくれるだろう。冒険王のことに関しても語り合いたい。これは一人ではできないことであり、新たな発見だった。誰かと想いを分かち合えるということは素晴らしいし楽しい。


 よし。早く帰ろう。用件が済んだら本屋だ。


 本はいい。新たな物語(世界)の扉をくぐれば、それはもう冒険だ。

 本を守るためなら、私はきっと世界をも救うだろう。


 私はドワーフの里に設置しておいたポータルへと空間転移して戻るのであった。


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