──黒──
霧散した黒い靄が一カ所に集まる。それは巨大な黒い犬を象る。それは、ヘルハウンド。
「グ……オレノ獲物……次ハ、必ズ」
「いや。ここまでです」
「──主サマ。グゥッ!?」
ヘルハウンドは見えない力によって、首を締め上げられて宙に吊られる。
「地獄の番犬が聞いて呆れますね。とんだ駄犬でした。力を与えてもこの程度とは。ひとつだけ収穫があるとすれば、これでも少しは『進化』の兆しを見せたことですかね」
ベキッ。ヘルハウンドの首が折れる。そして瞬時に黒い炎に包まれ、跡形もなく消滅してしまった。
「実験は一応成功というところにしておきましょう。改良は必要ですが」
「主様。あの冒険者たちは始末しなくてよろしいのですか?」
新たな声が言う。
「あの魔法使いの力は意外でしたね。それでも中級冒険者程度ですか。大したことはありません。雷の魔法を使った冒険者は少し気になりますが……今、危険視しなければならないのは特級冒険者のみ。戻り、計画を進めるとしましょう」
「はっ」
闇は、静かに広がっていく。
そのことをまだ、誰も知らずにいた。
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