猪突猛進!!!!!!
案の定、フィーナはトラップにひっかかりまくっていた。
学者って頭がいい人種だと思ってたんだけどな。なんでこんな猪突猛進なんだこいつ。
「いやー、まいったまいった。さっすがダンジョンメーカーのミノさんが創ったダンジョン! すごい手ごわいね!」
「……いや、第1階層は難易度的に、初級冒険者がクリアできるレベルなのだが……」
「あっ! あれは何かな!? 何かな!?」
箱を開けたフィーナは黒い煙をもろに浴びて、ますます真っ黒になる。
「あいつほっといたらやべーことになるな」と誰もが思った。おれたちはフィーナを補助することに徹した。結果、おれたちは自然と連携を取ることができ、冒険は順調に進んだ。
「ミノさん。このダンジョンは何階層まであるんだ?」
おれがミノさんに訊ねる。
「まだ10階層程度だ。初級冒険者~中級冒険者くらいが対処できるレベルのものを創っている。今回の冒険ではできれば5階層まで潜りたい」
「10階層……すげーな、そんなダンジョン作れるなんて」
「我が師匠はもっと凄まじい【スキル】を持っていた。魔王直属の四天王のダンジョンを手掛けたくらいだからな」
「マジか」
数々の冒険者を葬った四天王。単純につえーからってのもあるが、何よりもダンジョンが厄介だったと言う話は聞く。
「本当にすごいですね。なんらかの災害が起きた時の避難所としても使えそうですね」
クルスが言うと、ミノさんは頷いた。
「今後、居住区を拡大する上では欠かせない能力らしい。ちなみに、人間たちの建物も創ることができる」
「ますます、すごいですね」
「我らの交流がうまく行けば、力を貸せる時も増えることだろう」
「その時は私の実家を建て直してもらおうかな……」
それにしてもこのクルスという男。元殺し屋とは思えないくらいに穏やかで腰が低いな。どちらかというと、ゲイルの方が殺し屋っぽい。
そのゲイルは相変わらず口を開かない。
「ああ、すみません。ゲイルは人見知りの上、緊張しいなんですよ。ダンジョンに行くという緊張から、昨日は寝られなかったみたいです」
おれがゲイルを見ていることに気づいたクルスが、そんなことを言った。
「よ、よよよけいなことを言うんじゃない、クルス」
ホントにガチガチじゃねーか。まさかこいつ、敵意むき出しの目でおれたちを見ていたんじゃなくて、おれたちを見て怖がっていたのか。
「ゲイルは風の精霊に愛される、よい魔法使いなんですけど……気が弱いのが欠点でして。なんとか克服できれば、素晴らしい冒険者になると思うのです」
「だ、だだだからよけいなこと言うな」
「はいはい」
なんだかなー。
冒険者って、こんなゆるかったっけなー。もっと殺伐としていたような。
「ねぇねぇ、ミノさんミノさん! なんかすごいおっかない顔したモンスターいる! あんな子いたっけ!?」
フィーナが興奮した様子で戻ってくる。こいつまた勝手に先に進んでやがったな。背中のリュックに矢が刺さってんぞ。
「おっかない顔したモンスター?」
言っちゃ悪いが、おっかない顔と言えばミノさんもなかなかなモンだと思うんだがな。
──そいつはゆっくりと現れた。
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